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発売記念日


発売記念日



「こんにちは〜。誰かいますかぁ〜?」

うららの新曲、
『ツインテールの魔法』の発売日。
みんなに早くCDを渡したくて、うららはウキウキしながらナッツハウスへやってきた。
しかし、だれも居らず少しガッカリし、うららはいすに座った。


15分…30分…1時間と待っているうちに、うららは眠りこんでしまった。







きがつくと辺りは真っ暗だった。
電気もついておらず、何も見えなかったが、話し声が聞こえた。



「−準備できた?」

「しーっ!あんた声でかい!」

「りんちゃんだって…」

「2人ともやめなさい!うららが起きるわ。」

(もう起きちゃいましたけど…)

と、苦笑しながら、暗闇に声をかける。

「あの…皆さん?どこですか?」

「「「!!」」」

その瞬間、電気がつき、明るく照らされた。
突然の眩しさにクラクラしながらうららは目の前の光景に唖然とした。
お菓子や花、プレゼントが山のように沢山あった。
そして、
『うらら、新曲発売おめでとう!』
と書かれた紙が壁に貼られていた。

「これ…!」

「私たちからのプレゼントだよ!」


のぞみがニッコリ笑う。

「あのね、うらら。これ企画したの、シロップなんだよ♪」

「うわ!!何しゃべってんだよ!」

顔を真っ赤にしたシロップが2人の間に割って入る。

「余計なことを言うな!」

「いいじゃない。悪いことじゃないんだし。」

横から見ていたりんがニヤリと笑って言った。
うららもクスクス笑って、
「ありがとう!」
と、満面の笑みで言った。

「べ、べべ別に…」

ふいっとシロップは顔を背けた。


「じゃあ、うららの新曲が売り上げ一位になることを願って!」

「「「カンパーイ!」」」



「ところで皆さん、どうしてこんなに遅かったんですか?」

「それがね、うららさん」

こまちが嬉しそうに言った。

「みんな、それぞれでうららさんのCDを買いに行ってたのよ。
でも、どこも売り切れで見つけるの大変だったわ」

うららは、嬉しそうな、申し訳なさそうな、複雑な顔をした。

「でも、ちゃーんとゲットしたからね!」

りんがゴソゴソとカバンの中から取り出し、うららに見せた。

「あら、もちろん私達もよ!」

かれんとこまちがニッコリと笑う。

「僕らなんか、三枚買ったよ」


ココとナッツがテーブルにCDを置く。
するとのぞみが、ちっ、ちっ、、ちっ。と舌打ちをした。

「私なんか、五枚も買っちゃったもんねー!!」

「えぇっ!?」

多少呆れつつも、みんな驚く。

「バカね。一人で五枚も買ってどうすんのよ」

くるみが、ケーキを運び、呆れながら言った。

「っていうか、お前らが買ったってだけで、うららの売り上げが伸びるわけじゃねぇだろ。無駄、無駄。」

シロップがそういうと、うららはしゅんとなる。
すると突然、ずっとシロップの肩に乗っていたメルポがシロップのカバンに乗り移った。

「…?あ!おい、メルポやめろ!」

慌ててシロップが止めるが、時すでに遅し。

カバンのチャックが開いたかと思うと、中からドサドサッと何かが落ちた。

「これ…全部うららのCD!?」

「多すぎ!」

「シロップ人の事言えないじゃん!」

みんなからさんざんに言われ、真っ赤なシロップとさっきとは打って変わって上機嫌なうららの姿があった。




END