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ヤキモチ妬いて、想いを伝えて。


「清水先輩、付き合って下さい!」

また…だ。

また清水くん告白されてる…

「…ごめん。」

でも 

清水くんの答えはいつも同じ。

清水くんの好きな人って一体誰なんだろう…

「マネージャー?」

「っ!!」

後ろからいきなり声を掛けられてびっくりして振り返ると 

そこにはあたしの好きな人で野球部のキャプテンである清水大河くんが。

「し、清水くんびっくりさせないでよ〜」

「何やってんの、こんなとこで」

「えっ!?…あ、あの…」

どうしよう…

覗いてたって思われちゃうかな…。

「た、たまたま近くを通りかかって……」

なんて――

こんな嘘、彼にはお見通し。

「ふ、別に素直に見てたって言えばいいのに…」

うぅ…

清水くんってば…余裕あるなぁ。

あたしが告白現場目撃で苦しい思いしてるのにも関わらず…。

「…清水くん」

「ん?」

清水くんの好きな人って誰??

…なんて聞けるはずもなく 

「な、何でもない…気にしないで」

そう言うと彼は不思議そうな顔をして 

「ヘンなの。」

と笑った。


「あの、鈴木さん」

放課後、クラスメートの女の子に呼ばれたかと思うと

「これっ!清水くんに渡してもらえる??」

「えっ…」

そう言って手渡されたのは可愛らしいピンクの封筒。

『清水くんへ』
と書かれている。

「どうしてあたしに…?」

とは尋ねてみたものの入学してからいつものことだから理由は分かってる。

「だって鈴木さん野球部のマネージャーだし、清水くんと仲良さそうじゃない」

…そうかな

「いいなぁ…鈴木さんうらやましい…」 

…そんなことない

あたしだってあなたと同じ。

――清水くんに恋してる。

自分の思いも伝えられないのに
 
どうしてこの子達の思いを伝える手助けをしなくちゃいけないの――――?

辛い 

すごく心が…痛い。

「清水くん…」

気が付くと涙が止まらなくて――

あたしはただ一人教室の隅で泣いていた。

――ガラッ 

「!!」

「マネージャー…!」

するとそこへタイミング悪く清水くんがやってきた。

あたしは急いで涙を拭う。

「ど、どうしたの??清水くん」

まだ目が赤いかも。
何だか清水くんの顔…見れないな。

―あ、そういえば 

「そうだ…し、清水くん、これ……」

あたしは清水くんに先ほど女の子から渡された手紙を渡した。

「何これ…」

「さ、さっき…清水くんに渡してって…言われて…」

ああ、もう…

また涙が………出てきちゃった。

「…マネージャー?」

「……。」

「泣いてるの?」

清水くん―――

「何で泣いてんの…」

「だ…だって……」

清水くんが

清水くんのことが 

「…好き、だから――」

「え?」

「清水くんのことが好きだから…」

―――や、やだ。

何言ってるんだろう、あたし。


清水くんの顔見たら…

自然に…。

「マネージャー、顔上げて」

む、無理…そんなの

…恥ずかしくて

すると清水くんがあたしの顔を覗きこんできた。 

「……っ////!?」

「ごめん、何か俺無神経だったかも」

「え…?」

「マネージャーがいるの分かってて告白されたり、さっきだってマネージャーが手紙渡されたとこ見てたし」

え、う…嘘…

「どうして……?」

あたしが恐る恐る尋ねると清水くんは照れくさそうに顔を少し赤くして 「…マネージャーに…妬いてほしかったんだよ」

と言った。

「清水くん、それって…」

「……俺が好きなのはマネージャーだから」

―――清水…くん。

あたしも…あたしも清水くんの事が大好き。

あたし達、同じ想いになれたんだ―――

何だか夢でも見てるみたい。

「もう妬く必要ないから…」

「清水くん…」

「俺にはマネージャーだけ。」

そう言って彼はぎゅうっと優しくあたしを抱き締める。

「うん…」

(ヤキモチ妬いて、想いを伝えて。) 

やっと繋がったこのキモチ。






みるきぃさんからいただきました!

な、ななななんて、なんて素敵な小説なんでしょう!!
やばいやばい。にやけてしまうぜw
大河大好きな綾音ちゃんと妬いてほしい大河が可愛すぎる…!
難しいリクエストにもかかわらず、ありがとうございました!