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小さな恋のうた


※大綾パロです
綾音→姫
大河→鍛冶屋の息子
10歳くらいの設定です
















「…綾音ー!」

「姫様ーっ」

雲一つない青い空が広がるある暖かい日のことです。
王様と数人の兵士たちが、大きな城の中を、一人の少女を探しながら走り回っていました。
少女の名は綾音。王様の大切な愛娘であり、この小さな国の姫でありました。


「…朝からどうしたのよ、騒がしい…!」

「げ。美保…!」

藤井王は美保王妃に見つかってしまいました。

「『げ。』とはなによ、失礼ね…!」

「ず…ズビバゼン…ぐっ…ぐるし…」

王様は王妃様に首を絞められてしまいました。
お二人は今日も仲良く幸せそうです。

「…で、どうしたの?」

「実は…綾音が…」

「また…?もう…本当にあんたそっくりねぇ」

「う゛…」

王様は言葉を詰まらせました。

「…まぁいいじゃない。行き先は決まってるんだから。お昼前には帰ってくるでしょ」

そう言うと、王妃様は『もっかい寝るわ』と寝室に戻ってしまいました。
そんな王妃を見送り、王様は空を見上げ、寂しそうに笑いました。










城から少し離れたところに小さな鍛冶屋がありました。中には少年が一人。

「…」

少年は人の気配を感じ、扉の方に目を向けました。

「…おはよう!大河くんっ」

大河と呼ばれた少年は、呆れたようにその人物をみました。

「…綾音…今日はどうやって抜け出したわけ?」

「今日はねー、裏の森の中を抜けてきたの」

『えへへ』と笑う綾音に、大河は聞きました。

「よくそんなに抜け出してこれるよな…城の警備どうなってんの?」

「うーん…なんか小さい時にいろいろぬけ道見つけてね、それのほとんどがここの近くに辿りつくんだ、なぜか。」

「ふーん…?」

「薫お姉さんは?」

「姉貴は買い物。」

綾音の顔は見ず、大河は金属を叩いています。

「そっか。で?」

そんな大河の手元を覗きこみ、綾音は聞きました。

「今度は何をつくってるの?」

「…ペンダント」

「あ、もしかして、薫お姉さんの結婚のお祝い?」大河は頬を染めてコックリと頷きました。

「すごーい…!本当に器用だね、大河くん!」

「でも…まだまだ下手くそだし」

「そんなことないよ!薫お姉さん、きっと喜んでくれるとおもう…あ、大河くん!薫お姉さん帰ってきたよ!隠して、隠して!」

「え、あ、あぁ」

綾音は窓の外を見て、慌てて大河に片付けるようにうながしました。





「ただいまー、大河…あ、綾音ちゃんも来てたの。いらっしゃい!」

「薫お姉さん、お帰りなさい!」

「ありがとう。
大河、もうあんたいいから、綾音ちゃんと遊んできな」

「え、で、でも…」

「いいから、いいから!」

そうして、綾音と大河は半ば強引に外に遊びに行くことになりました。





「どこいく?」

「じゃー…海いこ!あそこのトンネルぬけたら見えるんだよ!スッゴく綺麗なの!」

「わかった」
そうして、二人は歩き出しました。

「…薫お姉さん、幸せそうだったね」

「うん。ちっちゃい時からずっと好きだった人と結婚できるからね」

「そっかぁ…」

突然、綾音が立ち止まりました。

「…?綾音…?どしたの?」

「…いいなぁ…」

「…へ?なにが?」


大河が聞き返すと、綾音は頬を染め、『な、なんでもなぃ』と呟きました。

「ね、大河くん、」

「ん?」

「…私が結婚するときは、大河くんが指輪つくってね、絶対!」

「綾音…」

ニッコリ笑う綾音につられて、大河も微笑みました。

「うん、わかった」

「えへへ!じゃあ、いこう!」

そう言って差し出された手を、大河はにぎりました。


そして繋がれた手が離れることはありませんでした。







それは二人の幼き頃の
小さな小さな恋のうた


End



あとがき

葵衣さん
遅くなって申し訳ありませんでした。
初パロでした…f^_^;
なんだか微妙なできになってしまい、スミマセン…
もちろん薫ちゃんの結婚相手は吾郎で!
ちなみに、城からの抜け道がたくさんあるのは、一時期藤井が薫ちゃんのところに通い続けていたからです←
でもまさか自分の娘もその道を利用しているとは夢にも思っていません(笑)

上手に書けませんでしたが、楽しかったです。

相互リンクありがとうございました!
これからもよろしくお願いいたします。