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二人だけのナイショ


「清水君、早く早く!」

綾音が大河を急かす。

「大丈夫だって。委員会で遅れるってこと、先輩達には連絡したし。」

「でも、もうアップはじめちゃってる時間だよ?急がなきゃ!」

そう言って、綾音は屋上への階段を駆け上がった。

「…ったく。転んでも知らねーから…」

大河はため息混じりに言った。
次の瞬間、


「きゃ、!」


「…!あぶな…っ!」


足を滑らせた綾音。そして、大河はそれを庇おうとし、2人一緒に落ちてしまった。











2人だけのナイショ







「いって…」

「ご、ごめんなさい!清水君…大丈夫…?」

頭をさする大河を、綾音は心配そうに見つめた。

「何とかね。アンタは?」

「わ、私は大丈夫だよ…。」

『本当にごめんなさい…』
と、目に涙を溜めて謝る綾音に、大河は
『もういいよ…。』
とため息をついた。



「それより…ここは?」

「私にも…分からないの。私達…さっきまで確かに学校にいたはずなんだけれど…」2人は周りを見渡した。
そこは公園だった。が、様々なところが壊れたり、ひびが入ったりしていた。

まるで何かが暴れまわった後のようだった。



「とにかく、ここがどこなのかわからないと、どうにもできない」

「どうするの?清水君。」

「とりあえず周辺を歩いてみるか」

「うん…。」


綾音は不安そうに頷いた。









「ねぇ、マネージャー。なんか変じゃない?」

「私もそう思ってた。なんか、みんな着物着てるし…ビルとか少ないかも」

「看板の文字逆だし。ってか、変なのもいっぱいいるんスけど。」


周りを見ながら大河と綾音はひそひそ話す。



「あ、清水君!あれ見て!」

綾音が突然、あるものを指差し、大河もつられる。


「え、えっと…『ば、ばんじや』?」

「万事屋(よろずや)、ね。」

大河が綾音に突っ込みを入れる。


「いいじゃん、ちょっといってみようぜ。」


そういって、2人は万事屋に向かった。


「ふぁぁあ〜…よく寝た。あれ?神楽、新八は?」

長い眠りから覚めた銀時は、キョロキョロと周りを見る。

「駄眼鏡なら、お通ちゃんのライブに行ったアル。」

「ふ〜ん。…ん?あれ?ちょ、まてまてまて!今日って…
ジャンプの発売日じゃねぇかぁぁあ!」

突然カレンダーをみて、銀時が叫んだ、その時。




ガラガラッ


『すみませーん』



「ゲッ!こんな時に依頼かよ!…神楽、後は任せた!」

「は?おい、ドコ行くネ天パ!」

銀時は慌てて出て行った。







「あの…」

「ハイハイ、すみませんヨ〜」

大河は神楽を不思議そうに見る。

「何の依頼アルか〜?…あ、酢昆布なくなったアル。」


(これ、明らかにおかしいだろ)

大河は心の中で突っ込むが…。

「…かわいいー!」

綾音は違った。

「私、鈴木綾音!こっちは清水大河君。あなたは?」

「私は、歌舞伎町の女王、神楽アル。」

「神楽ちゃん、よろしくね!」

年が近いこともあって、綾音と神楽はすぐに仲良くなった。



とりあえず、神楽の酢昆布がなくなったので、見物もかねて、一同は駄菓子屋にいきながら、今回のいきさつを話した。







「…それで、気がついたらこの公園に…」

「この公園だったアルか!私がよくくる場所ネ。」

「そうなの?」

「ウン」



「ところで、チャイナ娘サン、」

大河がそう言うと、神楽が眉をひそめた。

「その呼び方、やな奴思い出すから止めて欲しいアル」



「やな奴?」

綾音が首を傾げる。

「そーアル!あのムカつくサドヤローめぇぇえ!」

「へぇ。そりゃあ一体誰の事ですかィ?」


突然現れた声の主に、神楽は嫌な顔をした。


「サド!!テメーなんでここにいるネ!」


「どこにいよーが俺の勝手だろィ」

突然現れた青年に、大河と綾音は困惑している。

「もしかして…この人が神楽ちゃんが言ってた…」

「みたいね。でも、なんか俺ら忘れられてない?」

「う、うん…。」


既に戦闘体制に入っている神楽と沖田を、大河と綾音は冷や汗を垂らしながら見た。

「死ねェェクソチャイナァァア!」

「お前が死ねアルゥゥウ!」


そう叫び、暴れ始める2人。
周りが見えていないようだ。


「ど、どうしよう清水君!」

「どうするって言われても…」



その時。


「ほぁちゃぁぁあ!」

「「!!!??」」



ガッツーン!!!



神楽が沖田めがけて投げた木が、大河と綾音に直撃し、2人は気を失ってしまった。












「…君、…水君、
清水君!!」

名前を呼ばれ、大河は目を覚ます。

「あ!良かったぁ!大丈夫?」

「うん…。あれ?ここ…」

「学校だよ!」

『戻って来れたんだよ!』

と笑顔の綾音に、『そうか』とつぶやく。
外を見るともう夜で、2人は慌てて帰路についた。


「ねぇ、清水君、何だったんだろうね、一体?」

「さぁね」

「また…会えるかな?」

「…さぁね」

「…」
それきり、大河も綾音も黙ってしまった。


そして別れ道。

「…清水君!」

綾音が大河を呼び止める。

「…何?」

「今日のコト…2人だけの秘密にしよう!」

「…ま、誰かにいっても信じてもらえないだろうしね」

「あはは、それもそうね。」



そういって、2人は笑った。








END



横笛さん〜っ!すみません!

せっかくリクエストしていただいたのに(泣)

なるべく自然な感じで!と
思ってたら、ほとんど大綾と沖神がなくなりました…

とりあえず

・大綾は委員会に入ってる

・大河は綾音かばう

・天然綾音とツッコミ大河

・綾音と神楽仲良しw

・公園ひびだらけ

・チャイナ呼び→沖田意識

・大綾、沖神の喧嘩に巻き添え


が、かきたかったんです!



返品受け付けます。

ではでは、キリリクありがとうございました〜!