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君と桜と蘇る記憶







「あたし、桜ってあんまり好きじゃないんだ。」





何を思ったのか、俺の隣で彼女はそうつぶやいた。





「…なんでだよ?」





『たいてい女なら、花とか好きなんじゃねぇのかよ?』
と聞くと、彼女は少しムッとした。





「だって、昔のこと思い出して、寂しくなるもん。」





…昔のこと?





「…ってなんだ?」





そういうと、彼女はひとつ、大きな溜め息を漏らした。





「…なんでもないよ!」





「はぁ?なんだよそれ?」





「本田には教えな〜い!」






そういって、彼女はいたずらっぽく笑った。










「俺は好きだけどな…桜。」





「…え、なんで?」





キョトンとする彼女にいたずらっぽく
『教えねぇよ!』
と返すと、再びぷぅっと頬を膨らませた。






桜は嫌い─



あなたが突然いなくなってしまった時のことを思いだすから。



桜が好き─




いつも優しく笑って支えてくれる君のことを思いだすから。







君と桜と蘇る記憶










END