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ずっと一緒


海斗さんから



栞さんへ贈り物・〜ずっと一緒〜

これは…子供の頃からずっと一緒にいた、神奈川に住む4人の物語……

「綾音〜〜!」

「どうしたの〜菜摘?」

「聞いてよ!太一ったらねぇ〜!」

一ノ瀬菜摘と鈴木綾音…幼少時代にちょっとしたきっかけで仲良くなり、中学生の時に再会、そして聖秀学院高校で念願のクラスメイトになり、現在大親友になった。


「あの野郎…ぜってー許さない!」

「はいはい。」

「な、お前他人事と思ってるだろ!?」

「事実そうじゃん。」

一方で…井上太一と清水大河。神奈川の屈指の名門野球チーム「横浜リトル」時代からのチームメイトであり、ライバルであり、聖秀学院高校でクラスメイトになった大親友。
タイプは違うが、この4人はいつも一緒にいる。やがて4人は……大人になっても……

4人・二十歳の年〜〜



ガチャッ!

「ウフフ〜どう綾音〜?」

「似合ってるじゃん菜摘♪」

「あたしももう二十歳になったからね〜♪」

菜摘は私立の女子大学、綾音は医者になる夢を抱いて横浜の国立大学に進学。歩む道は別々だったが、今でも時間ができては一緒に買い物をしたり遊んだりと、今時の女子大生になっていた。

「ねぇ、綾音今から時間ある?」

「え、あるけど…。」

「じゃあさ、あの二人の学校行こうよ!」

「二人って…清水くんと井上くんの?」

神奈川ファッション専門学校〜〜

「やっぱ俺はカット技術あるな、先生にベタ褒めされたぜ!」

「たまたま上手くいっただけだろ?太一かなり不器用だから。」

高校を卒業後、美容師になりたいと考えていた大河と、そんな大河を超える?美容師を目指すために急きょ専門学校に合格した。今は野球からも離れ、美容師のライバルになった二十歳の大河と太一。

「うっせー!絶対お前よりいい美容師になってやる!」

「ったく……ん?」

「あ?……ゲッ!?」

大河と太一がふと外の校門を見つめると…

「よっ、久しぶり♪」

「井上くん!清水くん!」

「………。」

「お前が連れてきたのか?」

「ま、まさか!おい、何しに来たんだよお前ら!」

「なによその言い方〜!去年のクリスマス以来会ってないじゃん!」

「まだそんなに経ってないだろ…。」

「ところでさ、さっきここの学校の人に聞いたんだけど〜二人って学生寮入ってるんだって?」

「あ、あぁ…。」

「ねぇ、案内してよ!」

「は?」

「何言ってるんだ菜摘!」

「いいじゃん〜ちょっとお願いがあって今日来たんだからさ!」

「え、あれ本気なの菜摘!?」

「おい鈴木、何か知ってるのか!?」

「あぁ〜ダメダメ!ここじゃあれだから、早く寮に!」

「何でお前が仕切るんだよ!!」

「えっと…あたしも行っていいかな清水くん…?」

「…一人帰るのはまずいっしょ。」

「はいじゃあ決まり!案内して!」

「引っ張んなよ菜摘!」

こうして菜摘の計画?に強引に巻き込まれた大河と太一は学生寮へと向かう。


学生寮〜〜

「へぇ〜大河と太一、同じ部屋なんだ!」

「振り分けでたまたまだけど。」

ガチャッ

「おぉ〜すごいマネキンの数!わっ、これ超かっこいい!」

「荒らすなよ、片づけ大変なんだから。」

「わかってるよ大河〜!」

「これ、二人がカットしたの?」

「おぉ!そっちが大河でこっちが俺だぜ、鈴木!」

「へぇ〜…///」

「…ゴホン!じゃあ要件を言うわね、二人とも!」

「「?」」

菜摘はふぅっと息を吐き、大河と太一を見つめた。

「あのさ、あたしたちの髪カットしてよ!」

「「え?」」

「あたしと綾音の!」

「ちょっ…菜摘…!///」

菜摘の目的は、綾音とともに自分の髪を二人にカットしてもらうことだった。

「いや…なんでまた急にそうなるわけ?」

「だってさぁ、あたしたちの中で決めてたんだもん。あんたたちが最初にカットするのは、あたしと綾音にしてもらおうって!」

「「………。」」

「ねっ♪」

「……うん。///」

頬を赤くして返事した綾音とニコニコしている菜摘を呆然と見つめる大河と太一。

「…お、お前ら何勝手に俺たちの将来決めつけてるんだよ!」

「同感。俺たちにメリットないじゃん。」

「い、いや…あたしは恥ずかしいから止めてって言ったんだけど菜摘が…///」

「だって、あたしは……。」

「?」

「…太一が好きだから!」

「………。」

「好きな人にカットしてもらったら、超幸せじゃん!///」

初めて菜摘も頬を赤くした。そんな菜摘を見て太一は…

「……ったく、そんなの理由になってねぇじゃん!」

「な、なによ〜!///」

「………。」

「ねっ、やっぱり二人とも無理なんだって菜摘!」

「えぇ〜そんなぁ〜…。」

「…誰が無理って言った?」

「「えっ…?」」

サッ

大河は二人にある本を見せた。

「今俺ら、女性のヘアカットの勉強してるんだよね。」

「「………。」」

「…しょうがねーなぁ!練習にもなるから、やってやるよ!」

「ほ、ほんとに…!?///」

「やったぁ〜〜〜!///」

バッ!

「ほれ、ここ座れ菜摘!」

「え、俺が彼女か…!?」

「俺、ロング専門じゃないから!」

「んなことで美容師なれんのかよ…!」

「わぁ、本格的じゃん〜!」

「………///」

「どのようにしてほしいの?」

「え…えっと…おまかせで…///」

「おまかせって…俺に任せていいってわけ?」

「うん…。」

「あ、じゃああたしは〜。」

「俺に任せとけって!」

「へ?」

サクッ

「…菜摘、目閉じてろ。」

「…?」

「できたら知らせてやるからよ!」

「…うん!」

「…というわけなんで。」

「…わかった!///」

ザクッ…ザクッ…

菜摘と綾音はカットの間ずっと目を閉じていた。ハサミの音が耳に入る一方で、好きは人にカットされる幸せを感じながら……



カット終了後〜〜

「キャハ♪綾音可愛い〜♪」

「え、あたし変わってる…?」

「見た目では変わってないけど、なんかスッキリしてる!」

「そ、そう♪菜摘もヘアピンつけて可愛い♪」

「全く太一ったら〜!///」

ガシャンッ

「終わった〜!」

「何そんなに緊張してたんだよ?」

「だって、人の髪切ったの初めてなんだぜ!?」

「それは俺だって一緒。」

「…でも、ちょっと自信ついたよ。菜摘の笑ってる顔見てたら、俺も才能あるんだってな。」

「……そうだな。」

カットしてもらった菜摘と綾音…そしてカットをしてあげた太一と大河…この4人はこれからも…


”ずっと一緒”

end♪





海斗さんから素敵な小説いただいちゃいました!
大河と綾音、そして太一と菜摘…
この4人の絆は永遠です!

ありがとうございました!