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鈍感な彼の台詞



『うららちゃんは、好きな子とかいるの?』

『えへへ、内緒です♪』

『ということは、いるのね?』

『もー、からかわないで下さいよぉ』



ナッツハウスでうららが出ている生放送の番組を見ていた一同。だが、となりに座っているシロップが明らかに不機嫌になるのを見て、りんが遠慮がちに声をかけた。


「し、シロップ?どしたの?」

するとシロップはハッとしたように周りを見渡し、みんなの目線が自分に向いているのに気付いた。

「お、俺、ちょっと…出かけてくるっ!」

そこらへんの傘立て、鉢植えをひっくり返しながら、シロップは慌てて出て行った。
明らかに動揺している彼をみて、みんなはニヤリと笑った。

「本当にわかりやすいねぇ」

「えぇ」

「お似合いだし」

「応援したくなるわよねぇ」

「でも」

「「「でも?」」」

くるみが呆れたように言った。
「シロップヘタレだから」

「「「…あぁ…」」」






(なんだよなんだよ!)

シロップは険しい顔をして、街中をずんずん歩いていた。
先ほどの頬を染めたうららを思い出すと、無性に腹がたった。すると


「シロップー!」

「…!うらら…」

先ほどまで、テレビに出ていた少女が駆けてくる。

「お前、生放送…」

「今は休憩時間!
…テレビ、見てくれてたんだ?」

「…え、あ、…まぁ」

「そ、そっか」


気まずい沈黙。











「好きな奴って誰?」

「えっ!?」


言ってから、シロップは『しまった』という顔をした。

「いや、あの…えっと、」

顔を真っ赤にして焦るシロップを見て、うららはクスリと笑った。

「知りたい?」

「え゛!やっぱりいんのか!?」

「…内緒!」

「なんだそりゃ!」


ふふ、と笑ったうららは、急に真面目な顔になる。

「シロップは?」

「は?」

「好きなヒト、いるの?」

「そ、それは…




…内緒」

「えー!教えてよぅ!」






こうしてみているこっちがじれったくなるような二人の関係は、まだまだ続くのだった。




END