▼黒月お誕生日
01/31 01:43(0

おはよ。角を曲がったら突然声を掛けられた。大袈裟に体が跳ねた。不覚だ、いつも驚かすのは自分のほうなのに。きらきらと朝日に輝く黒髪がサラリと冷たい風に揺られた。
クスクス笑う伊月先輩は、朝から一発得意のダジャレを言って歩き出した。僕はそれに着いていく。
朝練のある部活だけが通る時間帯。まだ周りには誰もいない。鼻も口も冷えて感覚が薄れてきている。マフラーの隙間から白い息が漏れた。

ふと、名前を呼ばれた。このペースでいけばあと5分で正門が見えるくらい、というところだった。僕は、返事の代わりに顔を見た。一瞬目線が交わる。

「はっぴーばーすでー……おめでとう、黒子」
「あっ、ありがとうございます」
「忘れてた?」
「そうですねー…」
「じゃあ、俺が最初ってことかな」
「え、あ、そうですね」
「よっしゃ、狙ってたんだ。部室でみんな待ち構えてるからさ、先回りしておきたいと思って」
「言っていいんですかそれ」
「いいの、16歳の黒子を初めて驚かしたのは俺なんだから、もういいんだよ」
「なんですかそれ」
「わけわかんない?」
「はい、わけわかんないです。どうせなら何か欲しいです」
「それは夜な。みんな用意してるから」
「それも言っちゃいけないんじゃ…まあ予想は出来ますが」
「だろ?」

クスクス、また静かに笑う綺麗な横顔。

「もらってばっかりって居心地悪くないですか、嬉しいけどくすぐったいというか」
「そう?俺はただ嬉しいって思うけど…、それなら誰かに何かあげればいいんじゃないかな」
「じゃあ、16歳の僕の初めてをひとつ、先輩にあげます」
「え?いきなり?」

言いながら、巻いている意味があるのかどうかわからないくらい大雑把に巻かれたマフラーを、くい、軽く引っ張ると、きょとんとした瞳がこちらを見た。
今度は少し強く引いて、ほんの少しだけ踵を上げる。
真っ白な息がひとつになって、すぅっと消えた。
真っ赤な頬が寒さのためだけではないのは、僕だけが知っている。


「……あげるっていうか、奪う、だよな」
「気のせいですよ」
「お前最近そればっか」
「ふふ、気のせいです」
「なんでも気のせいにすんな」
「しませんよ、だって僕が先輩を好きなのは気のせいには絶対できませんから」
「真顔で言わないで。間が落ち着かない。キタコレ」
「きてないです気のせいです」
「えっ」

























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オチが
オチが


最近黒子さんブームなんじゃなかろうか。そんな感じの眉毛です。おめでとうさん!

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