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01/04 23:56(0




僕は知っている。
彼が、ときどきあの人の名を呼ぶのを。それはとても大事そうに。優しく、悲しく。一文字一文字を、楽しむように。愛するように。

僕は知っている。
誰にも言えないことを独りで抱える苦しさを。ひとりになると、みんなといたときは何でもなかったことがキラキラ輝いて見えて、特別なもののようになって思い出される切なさを。
突然降ってくるように胸に広がる膨大な気持ちが、喉に詰まって涙に変わる悲しさを。

きっと彼は知らないだろう。
砂の粒ほども叶う可能性のない恋心を抱いてしまった絶望を。
きっと彼は、もしかしたら叶うかもしれないという一筋の希望に踊らされたあとの冷酷な現実ばかり見ているだろう。

僕ならわかってあげられる。
涙まで吸い取って、ますます膨らんだ抱えきれない苦しさを、僕となら分けられる。そう言って手を取って、彼が流す涙を拭ってやりたい。でもそれは、僕が諦めるときだ。一生この気持ちには蓋をして、消えるまで、消えるまでと辛抱するのだ。それは、弱みにつけ込んで傷を舐めあうような関係になるより、愚かでないはずだ。彼は優しい。だから、僕がこの恋を伝えてしまったら、もっと苦しむことになってしまうのだ、それだけは、僕は絶対に望まない。優しい彼を、彼の心を、両側から抉るわけには、いかないのだ。だからこのままでいいのだ、僕のことなんて。
でも、だけど。願わくは彼の思いが報われんことを、なんて言おうとしても声が出ないくらい、僕は、彼が、あの人が、先輩が。ああなんて、ああ、どうして!




今日も、心臓が波打っている。
鋭い視線が僕を見るのを、ひとりきりになると思い出す。どきり、なにも聞こえなくなる。苦しい、泣きたい、叫びたい。あなたには、いつまでも届かない。それでいい。それでいいはずなのだ。だって、この恋は、気持ちは、そんなに汚いものじゃない。優しい彼が応えてくれてしまっても、僕は全然嬉しくない。そのくらい、純粋で。嫉妬に狂うくらいの、重いものであって。なんなら彼の気持ちが叶ってしまったほうが、きっとまだ苦しくはなく。


いつか、懐かしむときが来たとして、そのとき、僕は何を思うのだろうか。後悔は、あるだろうか。僕はただ、そればかり考えている。


















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勢いに任せているので支離滅裂です。読みづらくって申し訳ない。まあ小ネタは特に、発散するための場所ですからね、大概は自分のために書いてますからね、小ネタに限らず。

大切に、大事そうに名前を呼ぶ後ろ姿、というのは見ていて泣きたくなるものなんじゃないですかね。というところから。
笑うでもなく悲しむでもないような曖昧な無表情で、『ひゅーが、ひゅうが、日向』って、ゆっくりと、静かに呟く伊月さんに、一瞬でも振り返ってほしい、話しかけてほしいと願う黒子さんです。つらい。

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