▼森月のデートのクライマックス
12/17 00:21(0


絶対くる、と思ったタイミングで、やっぱり森山さんは俺の両肩に手を乗せて笑顔をキメた。笑顔をキメる、というのは妙な表現かもしれないがこの人の笑顔にはこの言葉がよく似合っている。目の前の彼は内心キメたぜ、とか思っているに違いない。

キラリと光る胸元のシルバーを見つめていると顎の下にそっと指が添えられる。沈黙が辛い。心臓がドクリドクリと脈打っているのがさらに体を堅くさせる。しかしそこで頭の中で光るものがあったのでつい口走った。

「シルバーを知る婆さん!キタコレ」

「ねえちょっと黙ろうか伊月くん」

へへへと笑って謝るとダジャレも嫌いじゃないけどね、なんて言われた。

温かく、少しかさついた人差し指はかすかに震えているがそれを指摘したことはない。きっと本人も自覚していることだろう。促されるままに顔を上げれば親指で下唇をなぞられる。その左手がやや汗ばんできているのを感じて、ぎこちなく微笑んだ。互いに緊張しているのはバレバレだ。だけどそんなこと言うだけ野暮ってもんだ。スッと目を閉じて近づいてくる顔に肩が上がってしまう。ぎゅっと目を瞑ると微かな息づかいが聞こえてきた。
0距離まであと数秒、思わず息を止めたその瞬間。

「あっ」

「え、なんですか」

「まって、ブレスケアしてない」

「は?」

「さっき食べたパスタ、ニンニク入ってただろ?」

「いや、あの、え?」

「キスはまたの機会にしよう、初めてがニンニクの味なんて伊月くんも嫌だろう?」

「………」


はあ、と溜め息をついてどっちもどっちだと呟いた。











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そんなこんなでまだキスしたことない森月。ファーストキスはどちらも既に奪われていると良いとか勝手に妄想しています。
残メンズは互いの残念っぷりをなんだかんだ互いに好きあっていると良いですね。

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