▼木月
11/04 10:55(0

病室にて


「え、なにこれ」

「糸電話だぞ?知らないのか?」

「いや知ってるけど、どうしたんだよいきなり」

「紙コップで作ったんだ」

「そりゃそうだよね!?見ればわかるけど!?」

「看護師さんが置いてったの見てたら、伊月と糸電話で喋りたくなってな」

「なるほど。えーと、うん、やるか」

「おう!」

「うわ、これ結構糸長い」

「長いほうが面白いかと思ったんだけど」

「でもこれ部屋から出なきゃいけないレベルじゃん、長すぎだって」

「まあ、どうせやるならそのくらいがワクワクするだろ?」

「あははっ!そうだな!じゃあ部屋出るわ。俺から話す。木吉は聞いてて?」

「わかった」



『もしもし、聞こえる?あー、これいちいち持ち替えないと返事聞こえないのか。気づかなかった、ケータイと全然違うんだな。ていうかこれちょっと寂しいかも。ちゃんと離れないと声が届かないとか不思議。じゃあ持ち替えるよ、次木吉の番』

『もしもし、これすっごい綺麗に声聞こえるぞ!なんでもやってみるもんだな。俺はケータイより好きだぜ、これ。今糸の先には絶対伊月がいる。それに、離れてるって言ってもすぐに顔が見れる場所だろ?』

『それなら普通に喋ったほうが…』

『え、ん?何か言ったか?』

『やっぱりこれめんどくさいって』

『あれ、伊月?聞こえてるか?』

「うん、聞こえてるよ」

「も、もどってきたのか」

「やっぱりさ、このほうがいいって、ね」

「伊月にはかなわないなあ」











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この数日後、糸短くしてリベンジします

すんげー恥ずかしいことを言ってくる木吉さんにたじたじな伊月さんが見れます。
内緒話みたいにコップに囁きあってクスクス笑う伊月が可愛くて仕方ない木吉さんです

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