▼海合宿の浴場にて
08/05 22:21(0



「ぁあッ!!つうっ……!」
湯に浸かるなり勢いよく立ち上がって苦悶の表情を浮かべたのは、普段冷静沈着で涼しい顔をしているようにみえる伊月だった。
「うわっ!?びっくりしたー。そんなに熱い?」
常では聞くことなどない大声に盛大に驚いた小金井が尋ねると
「あ、日焼けですか」
と、突如として現れたかのように黒子が小金井の横から発言した。
「いつからそこにっ!?」
「ずっとここにいましたけど…」
今日も何度したかわからない会話に呆れ顔の日向が伊月を振り返り、大丈夫かと声をかける。
「いや、猛烈に痛かった。咄嗟にネタも浮かばないくらい」
「その基準はさっぱり理解できねぇ」
「シャワーで結構冷やしたつもりだったんだけどなー…」
痛い、ともう一度呟くその顔は全く痛がるふうでもなかったが、さすっている二の腕と同じように鼻や頬が真っ赤になっているのを見るだけで痛みが伝染してきそうである。その様子に水戸部が心配そうに眉を顰めた。
「日焼けかー。オレなんかもう黒くなってきてるんだけど」
「なるほど、これがまっくろくろすけの正体か……!!」
「……(フルフル)」
「水戸部にまでちょっと呆れられてるよ!どんだけまっくろくろすけ好きなの木吉は」
「なあ、気になってたんだけどまっくろくろすけってなんだ?」
「知らないんですか火神くん。実は僕のことなんですよ」
「まじか」
「違います。からかっただけです」
「このやろ……っ」
変な方向へ向かい始めた会話を遮るように水戸部以上に眉間にシワを寄せた彼らのキャプテンが口を開く。
「お前すぐ赤くなるんだから日焼け止め塗っときゃよかっただろ」
「忘れてたんだよな。まさか外でやるとは思わないじゃん」
「ランニングどうするつもりだったんだよ。とりあえずカントクなら何か持ってるだろ。言ってみれば」
「んー…」



おわり

尻切れトンボにも程があるので
小ネタの長さじゃないけど小ネタに入れます

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