5 お話



「あ、そういえばそうだった」


二人ともというのは七海と日向の事だ
狛枝の言う通りそろそろ行かなければ二人を待たせてしまう


「そろそろ帰る時間っすか…今日は時間が経つのが速いっすね…」
「それは皆さんが寝ていたからですよ!」


と、キーボが欠かせず突っ込む
そういえば私たちは午後寝て過ごしたんだった
いい時間だったとつくづく思う。


「ミョウジさん、今日俺も一緒に帰っていいっすか?」
「いいけど…天海は家逆方向でしょ?」
「…まあ、そうなんすけど…皆と帰ってみたいと思いまして…」


今まで天海は家が私たちと逆方向にあるという事で一緒に帰ったことがないのだ
いつか一緒に帰りたいと思っていた。
まさか天海が自分から言ってくれるなんて。


「んじゃあ、ボクの家に泊まる?」
「なんでいきなりそうなんですか…それに流石にそれは…」

「いや往復するよりいいと思ってね。
ボクの家には両親もいないし不便もないと思うけど…あ、そっか、こんなゴミクズの家に泊まりたくなかったよね、ボクは何も考えていなかったよごめん」


狛枝は私と同じく幼い頃に事故で両親を亡くし、そして多額の財産を手に入れた。

私の家の契約は叔父と叔母がしてくれた。
私は小学生頃にこの家に住みはじめて…高校2年生まで叔父と叔母は私の家に住んでいた。

家が近いため、近所から叔父と叔母もいなくてひとりぼっちの美青年と有名らしく、それを可哀想と感じた私の叔父と叔母がしょっちゅう私の家に呼んでいた。

…確か狛枝がうちに来るようになったのは中学1年生からかな。

叔父と叔母が実家に帰ってからは狛枝は私の家に来なくなった。
狛枝は私と二人きりが嫌らしい。

そのお陰で狛枝とは随分長い繋がり。
私は昔からゲームをプログラムするのが好きだった。

ゲームをインターネットで上げて見たことがある。すると世界的に私は有名になった。


そのお陰でお金は入ってきた。
希望ヶ峰学園の一人の候補だ、とよく世界で騒がれていた。

狛枝はよく宝くじを当てたり、など運が強かった。
まさか狛枝まで超高校級に選ばれるとは思ってもいなかった。


「別にそういう訳じゃないんすけど…着替えとかいろいろあるんで…それに申し訳ないっすよ」

「それは大丈夫だと思うよ、ボクと天海くんは身長が1cmしか違わないしそれに体格もほぼ一緒だからボクのを着ればいいと思うよ」
「まあそうすけど…」


天海は困っている様子だ
天海は狛枝に、遠慮し過ぎだ。


「じゃあ私も泊まりたいな」


二人は驚いた顔をしていた



「いきなりどうしたんすか?!」
「んー久しぶりに狛枝とお泊まり会したくてね」


ただ、単に私は天海に狛枝に遠慮するなと言いたいだけだった。


「ちょっと流石にそれはよくないと思うよ」


狛枝が、そう拒否する。
冗談で言ったのだがこの様子を見ればどうやら狛枝はかなり嫌らしいようだ。

この様子を見れば自分の思ったより狛枝は私の事嫌っているのでは?

とも、時々思うのだが、私を嫌うような行動はしてこない。

狛枝は不思議なのがいつもだからあまり気にはしてないないが。


「嘘だよ、流石に私が泊まったら迷惑でしょ?天海は狛枝に遠慮し過ぎだよ」
「泊まったら迷惑とかそういう問題じゃないでしょ」


狛枝に怒られてしまった


「え、ちょっと待ってください。久しぶりってどういう事すか?」


いきなり天海がで訪ねてくる。


「あれ?言ってなかったっけ?私たちは小さい頃からの付き合いで家が近いっていう事。」
「何ですかそれ?!初耳ですよ!」
「俺もっす…」


キーボはかなり驚いている。
天海はあまり表には出してはいないが驚いている。

自分自身皆に言ってたと思っていたのだが
言ってなかったらしい。


「じゃあそういう事で。話は外出てからね。二人待たせちゃうから」
「泊まりの話はどうしたの?」
「それも後でね」


そう言って私は作業室の出口まで行く。


「んじゃ行くから出て」


私は皆を外に出るように言う。
みんな出てからじゃないと私も出れない。

いろいろと物色されたら困るからだ。
天海と狛枝は大人しく出た


「キーボは?」


キーボは立ち尽くしたままで出なかった
私はキーボに出ないかと聞いた

キーボは無断でも立ち入れることになっているし
キーボは出ても出なくても別にいいと思ってる。


「どうしましょうか」


逆に問われて驚く


「え、いや、どうするかはキーボ次第だよ?」


私はしどろもどろになりながらもそう言った。


「うーん…」

「一緒に帰る?帰らない?それとも今日はここで泊まるの?」
「もちろん皆さんと珍しく帰れるのは凄く光栄なんですけど…この調子で本当に完成するのか…と思って…。あ、別に貶してるわけじゃないんですよ?!」


キーボはきっと心配してくれているのだろう
確かにキーボの言うことには一理ある。
このペースで期限までに作れるかどうか分からない


「キーボ、心配してくれてありがとう。」
「あっ、いえ…」
「…でも私は皆といれる時間が大好きだから時間を削ってでもこの平凡で愛おしい時間が欲しいかなぁ…もちろんキーボといる時もだよ」


キーボは無言だったが嬉しそうに微笑んで私のいる所まで歩いてきた


「今日は皆さんと一緒に帰ります」
「そうこなくっちゃ」


私はキーボに笑顔で答えた
キーボは照れくさそうに笑った
キーボと私は作業室を出て外で先に待っている狛枝と天海の所へ駆け寄った

…そういえばキーボの家って逆方向にあった気がするなぁ…まあ、いっか。


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