傷つけ愛 | ナノ


▽ 31話



あの人が去っていってからナナシは目の前で倒れた


「何が大丈夫よ!言った瞬間倒れたじゃないの!」


そうポロロッチョは怒った


「…顔がこんなに腫れて…貴方の可愛い顔が台無しじゃない、もっと自分を大切にするべきよ」


恐らく骨が折れているであろうナナシの赤くひどく腫れている頬を優しく触った


「…にしても貴方がナナシを助けるだなんて珍しい事もあるのね」

「別に助けたつもりなんてないし、助けたいだなんて思ってもないよ、ただマスターが視界に入ってイラついただけ」

「素直じゃないわね…」


そう呟いたポロロッチョに僕は睨んだ


「なによ、怖いわね」

「とにかく僕は気分屋だからナナシを助けたつもりなんてない」

「はいはい、分かったわよ」


ボクはただ単にマスターをみてイラついただけ。
なぜまたこの世界に来たのだろうか

ぶざけるんじゃない…全部マスターのせいで…みんなみーんなこうなったんだ


「ポロロッチョもいい加減マスターから逆らいすぎないで」

「気遣いありがたいんだけどワテクシには無理かしら」

「そんな事したらまた消されるじゃんか…消されてから2年もボクたちは待ってたんだよ!またいなくなってどうするつもりなの?!結局ボク達のことなんて考えてないじゃん!」

「ごめんなさいね…」


なんで謝るんだ
なんで反論しないんだ

すべて悪いのはこの現状。
ポロロッチョは悪くない。
すべてアイツのせい。


…でも、そんな事よりも1番腹立たしいのはボクだ


無力で何も出来ないボク
誰も助けることなんで出来やしない

怖いを理由にして逃げているだけ
なにも変わっていないんだ


もしかしたら僕はポロロッチョに憧れているのかもしれない

僕は気まずくなってその場を去ることにし、ポロロッチョに背を向けた


「テスラちゃん、ワテクシは貴方の事好きよ」

「は、はぁ?」


いきなり何を言うか


「実は一番皆の子想っている事も知ってるわよ、それに貴方はワテクシを心配してくれる。」

「…僕はそんな奴なんかじゃないし優しくないよ」


それだけを言い残して僕はその場を去った
そうだよ、僕はそんなやつなんかじゃない。

そんな良い奴なんかじゃない。
ただの怖がりで臆病な奴なんだ


「随分と酷い顔をしているな」


頭上で声が聞こえた
顔を上げるとグスタフさんと忠臣さんがいた


「…忠臣さんとグスタフさん」

「どうしたんだ」

「…別にそうでもないよ」


ボクはそう言って誤魔化した


「…あのさ、実は…」


マスターが来た、それは言うべきなのか言いかけた時に迷った
なぜなら、もしかしたらこの2人が何かしてしまうかもしれないから


「そんな思い込むな、我達がいる。なんでも言ってみよ」

「忠臣の言う通りだ」


そう言われて僕は二人を信じる事にした


「…実はまたマスターが来たんだ」

「成る程」

「マスターには手を出さない方がいいよ」

「何故だ」

「少し逆らってみたんだけど改めて感じたよ、僕達はやっぱりあの人には逆らえない」

「…めんどうなぷろぐらむだな。そんなぷろぐらむさえなければ我たちは…」

「…あんな野郎いますぐ殺してぇのに…」


僕だってアイツを思い出すだけで気分が悪くなる。
…気持ち悪い、吐きそうだ


「…ごめん、今あんまり気分良くないから自分の部屋で休んでくるね」

「ああ、大事にな」

「頑張りすぎるなよ」

「うん、ありがとう」


2人と話してみて結構スッキリしたかも。
でも気分が悪くて気持ち悪いから少し自室で休もう


…そういえばなんでナナシはアイツに殴られていたんだろう。

…まあ、深く考えても意味無いか、どうせアイツの事だし逆らったから殴られたんでしょ


自業自得ってやつ。多分。

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