▽ 24話
「…嘘だよな?本当は起きてるよな?」
アタリはナナシの名前をひたすら呼んだ
「ナナシ!起きろよ!」
何度呼んでも起きない。
時間がたっていくたびに心なしかナナシの顔が真っ白になってきている気もする
「…そんな、ウソだ…ナナシ…」
ナナシは死んだ
脳裏にその言葉が浮かんだ
それと同時にあることも思い出した
「…そうだ、voidollだ…voidollなら何かしてくれるはずだ…!」
アタリはナナシを横抱きにして急いで元来た道を走った
思ったよりもずっとナナシが軽くてアタリは驚いた
だんだん走っていくうちにあの寮が見えてきた
バンッ!!
そしてつくと勢いよく扉を開けた
「Voidoll!!Voidollはどこだよ!」
いきなりナナシを抱えたアタリが息を切らしながら大声をあげたことに皆は驚いて、アタリをみる
「アタリくん?なんでナナシを抱えてるの?それになんでずっといなかったの?皆探してたんだよ!」
と、テスラはアタリに駆け寄った
「それに関してはごめん、でも今はそんな事より大変な事が起きてるんだ、だから…Voidoll、Voidollを呼んでくれ!」
「私ナラココニイマスヨ」
「Voidoll!!」
Voidollは機械室から出てきた
アタリはナナシを抱えながらVoidollに駆け寄る
「ナナシ倒れてたんだ、息もしていない…」
そうアタリは言うと辺りがザワついた
「なんでだ?」
「部外者だから死んでも当然じゃないの?」
そんな言葉も聞こえる
「…ソウデスカ…!今スグ機械室ニ運ンデクダサイ!」
「おう!」
そしてVoidollとナナシを抱えたアタリは機械室へ入った
そしてアタリは機械室にあるベッドにナナシを寝かせた
全く血の気がないナナシをみてアタリは不安になった
「…なあ、Voidoll、やっぱりナナシ、死んじまったのか?」
「…オソラクソウデショウ」
「…」
「ソレデモ私ハ最前線ヲツクシマス、モシカシタラ助カルカモシレマセンナノデ気ヲオトサナイデクダサイ」
「…Voidollありがとう、あとはよろしくな」
「ハイ」
アタリはそう言い残し、機械室から出ていった
(なんだこのモヤモヤは、不安で仕方ない。
本当に俺はどうしちまったんだろう、ナナシなんか消えてもむしろ消えて欲しかったハズなのに、今更になって消えて欲しくないだなんて)
「アタリくん、大丈夫?なんか元気ないみたいだけど」
「マルコスか…アダムは?」
マルコスとアダムは顔がいい同士最初は摘心むき出しだったものの
和解して仲良くなった中だだからとても仲良が良い、普段一緒にいる
「アダムは部屋にいるよ、泣きそうなカオしてるね、どうしたの」
「…ナナシが死んだかもしれない」
「ふーん、ナナシか」
「…お前は何も思わないのか?」
「うん、正直思わないよ、だってリリカちゃんを困らせたりするしそれに存在が醜いから別に消えてもなんとも思わないよ」
その言葉にアタリは心が傷んだ
「…なあ、ナナシが消えて欲しくないって思ってる俺がおかしいのか?」
「僕からすればそうだね、なんで急にそう思うのかよく分からないよ」
(そうか、あの事があったから俺はこんな気持ちになっているんだ、これは同情なのか?)
「なあ、マルコス、もしもナナシが俺達よりずーと何百倍も辛い思いをしていたらどうするんだ?」
「…それはまずないと思うけど…」
「…だよな」
きっと前の俺に聞いたらマルコスと同じ事を言うだろう
「マルコスはナナシが嫌いか」
「うん、もちろん大っ嫌い」
自分自身に言われた言葉でもないのに何故かまた心が傷んだ
「…俺は、よくまだナナシのこと知らないから嫌いでも好きでないな」
「…アタリくん、」
「ん?」
「ナナシと何かあったの?」
「えっ、」
「だって今までのアタリくんと違うんだもん」
「…気のせいだろ」
アタリはそう言って歩いて行った
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