お宝箱 | ナノ
やっぱ、鬼じゃん。

*頂き物/現パロ。くいもの処設定です。


「カナ」


誰がが私を呼んでる


「カナ、おいで」


聞きなれた声


「疲れただろ?」


だれ…?


「来な」


うすぼんやりとした視界を声の主を求めて必死に探ってみれば、そこに立っていたのは


「…イゾウ、さん?」


鬼畜な上司が


「こっち来いっつってンだ」


優しい顔で私を呼んでいた


「…え?…え?」

「ほら」


手を広げて私を誘うイゾウさんが
怖いほどに優しすぎて


「イゾウさん、どしたんですか…」

「何だ、俺が嫌いなのか?」

「いやっ、あの///」

好きなんですけど、
大好きなんですけど
でもあの、何ていうかいきなり過ぎて

こ、心の準備が…


「俺はお前を気に入ってンだぜ?」

「えっ!?それって…」

「なぁ、カナ。」

いつの間に近づいたのか、
気づけばイゾウさんの顔がすぐ近くにあって
ひょいと背伸びすれば、キスできそうなくらいの距離に、恥ずかしくて、でもドキドキして
夢なんじゃないかと思った


「イゾウさん、私もイゾウさんが…」

「カナ、好きだ…」

「イゾウさん、私も好き…」


ーーー………


カナ…


カナ…




「カナっ!!」

「ふぇっ?!」

大きな声にびっくりして飛び起きてみれば、目の前にはさっきとは打って変わって眉間に皺を寄せまくった怖ーい上司

「テメェ、何寝てやがる」

「…あれ?夢?!」

そういえば、私は今残業中で
どっさり積まれた書類の束を見て現実逃避してるウチにうっかり夢の世界へ逃亡してしまったらしい


「…だよなぁ、イゾウさんがあんなに優しいわけないもんなぁ…」


疲れてんだな私、と自嘲して はぁー、と全力の溜息をつけば「あぁ?俺はいつも優しいだろ?」とか何とか聞こえた。


「カナ、あと10分で仕事終わせ」

「鬼っ!」

寝起きでボンヤリとする頭でさえ、10分じゃ無理だって分かるのに。
それでもやるしかないと、山積みの書類に仕方なく手をかければ


「あ…れ…?」


書類は上の二、三枚を残して全部処理済みで…


「この後、一緒にサッチんとこ行くんだろ?さっさと残りやっちまいな」


もしかして、私が寝てる間にやっといてくれたの…?この量を?

「イ、イゾウさぁん…」

あ、ヤバイ
感動して涙が……


「ところでカナ、誰が鬼だって?」


怖ーい顔したイゾウさんに地を這うような低い声で囁かれたら
感動の涙なんて一瞬でひっこんだ。




【やっぱ、鬼じゃん。】



(寝言で告白されたのは初めてだ。)
(……え?)


顔面爆発五秒前。



瀕死で仕事する私の元にわんさんから届いた、素敵文。元気出た!ありがとう!

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