エースとご飯
ご飯series「いただきまー……ぐう」
「は……!?」
食べてない……!まだ食べてないよエース!!
心の中で突っ込んでる間に頭を起こしたエースは、何事もなかったかの様にフォークを山盛りのパスタに差し込む。
くるくると器用に、どうやったらこれだけ巻き付くんだろう、というくらい大量に巻いたパスタを一口でごくん。そしてまたくるくる。
「ん?ルリ食わねえのか?」
「あ、食べるよー。相変わらず美味しそうに食べるなあと思って、つい見ちゃった」
ごくん。余りにも豪快に飲み込むから、思わず喉を見てしまう。エースの喉はいつも大変だ。胃も腸も。
今日のわたしのランチはミートボール入りのボロネーゼ。と言っても時間はランチではなく、もう夕方に近い。
食べそびれたわたしの為にコックさんが作ってくれている所に、お腹を空かせたエースがやって来て急遽増量。そしてこうして、二人で食べる事になった。
どれだけ美味しくても一人で食べるのは味気ないから、連れがいるのは正直嬉しい。
「肉団子うめえな」
「うん、それはサッチが作ったみたい」
繋ぎが少ないのにふわふわのミートボールは、わたしのお気に入り。全員分を作るには手間がかかり過ぎて滅多に食べられないけれど、こうやって少人数で食べる時にはたまに出してくれる。
お肉の多いボロネーゼに更にミートボールなんて、お肉の何段重ねだろうってくらいがっつりしたご飯も、男所帯のここでは通常メニューだ。
削ったチーズをたっぷり振りかけて、わたしもぱくり。美味しい時はカロリーの事は忘れる事にしている。うん、掛け値なく美味しい。
「エースはホント、よく食べるね」
「ルリが少な……ぐう」
「……普通なんだけど、ね」
エースと比べたら、誰だって少ないと思う。
3倍以上の量が盛られていたエースのお皿は、既にわたしのお皿より残りが少なくなっていた。一体どんな胃袋をしているんだろう……
寝てしまった隙にミートボールを二つ三つ。エースのお皿にささっと移動する。
「……ん、はっ……うお!肉が増えた!!」
「ふふ」
「んぐ、ごくん。うめえな!」
「うん、美味しいね」
夜ご飯、食べられるかなあ……厨房から漂い始めた良い香りに、少しだけエースの胃袋を羨ましく思った。
「ごちそうさまでしたー!」
(20151118
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