ネコ○事件。

※ちょっとギャグっぽい。

 サッチが突飛な行動をするのはよく有る事で、それで迷惑をかけられた事は無い。だからいつも単純に状況を楽しんでいた。
 けれどそれは今まで運が良かっただけで、単にわたしが実害を被らなかっただけなのだと思い知る。
 
 ああ、わたしまだ寝ぼけてる――それがその時の、最初の思考。



「おはようルリ。どうしたのさ、ぼーっと突っ立って」
「あ、おはよう。えっと、朝から宴……?」

 それとも昨夜から続いてる??あからさまに怪訝な顔をしたらしいわたしを、ハルタが容赦無く笑う。
 
「……だって、どう見たってサッチ素面じゃないよね?それともそのネコミミカチューシャは、わたしの幻覚??」
「似合うだろ?」

 いやいやいやいや。ちょっと待って。似合う似合わないなら似合ってるけどそうじゃない。寝起きは悪くないと思っていたのに、未だ頭が追いつかない。だっていい歳した海賊が頭にネコミミつけて、ニコニコしてるなんて……

「ルリもつけるか?」
「つけませんよ!?」
「ぷ……反応はやっ」

 当たり前だ。こういうのは、ナースさんとかもっと若い子とか、とにかくそういう子が着けるもので、わたしみたいな戦闘種の海賊が着けるものでは無いんだから。
 
「イゾウも好きかもしれねーぞ?」
「……万歩譲って、イゾウさんが好きだったとしても!ネコミミ萌えしてる姿を、わたしが見たいと思う!?」
「本気すぎて笑うーじゃあイゾウに着けさせればいいじゃん」
「え、それはちょっと……」
「見てえだろ?」
「イゾウさんが着けたとして……ううんダメだ。想像出来ないしたくないしちゃいけない」

 今日は朝からなんなのだ一体。サッチの調子が良いのはいつもの事で、ハルタもまあ、いつも通りだ。という事は、わたしの調子が悪い……ううん違う、わたしだっていつも通り、平常運転だ。
 
「とにかくそれは、大人しく自分の頭に乗せておいて。わたし、早くコーヒー飲みたい……」
 
 もう朝食って気分ではなくなってしまった。コーヒー飲んだら部屋に帰ってまた寝よう。何だかとても疲れた……
 
「……おい、朝から何やってんだ」
「あ、イゾウやっと来た」
「な・に・も!してません。おはようございます、イゾウさん」

 白々しさ全快。この際サッチはスルーで構わない。あんな話してたなんて、イゾウさんに知られたら……

「……スキあり!!」
「へ?すぽっ、て……あ、あぁぁ!!うそやだちょっとサッチのバカ!!」
「ま、待て待て得物抜くな冗談だってんだ!落ち着けルリー!」

 落ち着いていられる筈がない。ありえないありえない!イゾウさんの前でこんなの付けるなんて……!

「銃抜く前に耳外せばイイのに」
「聞こえてねェだろ。ったく、朝から何やってんだか……」
「で、どうなの?見た感想は」
「……感想なんてねェよ」
「ふーん。ま、良いけど〜。イゾウってホント、やらしいよね」
「あ?俺にも抜かせてェのか?」

 二人がそんな会話をしていたなんて当然知る由もないわたしは、必死にサッチを追い掛ける。家族の視線が少し痛いけれど、今はそれどころではないのだ。

「やっと捕まえた……」
「あ、なあなあルリ、ニャーって言ってみ?」
「サッチ……死にたいのかにゃー?」
「ぶほっ」
「あいつ……何ノってんだ……」
「うは、言った……イゾウ、生きてる……?」

 きっと後で死ぬほど後悔する事になるんだろうけれど、もう知らない。どうにでもなれ!

(20150820 



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