1万hitお礼、Truth番外編です。「エースがこんなに高いのか…」
ポツリと呟いた私の言葉を、私の後ろで居眠りしていた筈のイゾウさんが受けた。
「さっきから何を真剣に見てんだ?」
「ん?手配書ですよ」
「んなモン、もう珍しくもねェだろ?」
「そうなんですけど…」
手配書の束の中から、目の前に居る人の顔の載った一枚を選び、ぴっとかざして見比べる。
手配書自体が珍しい訳ではない。
「こーいうの見ると、ここが海賊船だったと実感するというか…」
そうでないと忘れそうなくらい、普段のここの人達は、呑気で明るくて、優しい。
「お、俺っちまた金額上がってんじゃん」
ひょいっと後ろから伸びて来た手が、嬉しそうに自分の手配書を取る。
「喜ばしい事?」
「おー。当たり前よ」
「傷は男の勲章みたいな…?」
「お、それ何かカッコいいな」
サッチは自分の傷を軽く撫でながら、俺っちの為の言葉じゃんなんて楽しそうに言う。
「うげ、イゾウまた金額上がっちまったのかよ」
「…え?イゾウさんの方が高いの…?」
って事はつまり、イゾウさんの方が海軍からの評判が悪いって事?
「こいつ実はヤバいからよ、リリィ気をつけなきゃダメだぜ?」
「サッチはいつもやる気出さねェだけだろうが」
「おー、俺っちが全力出したらイゾウなんてイチコロよ」
「イゾウさんを、イチコロに…?」
思わず吹き出した私につられて、2人も笑う。
ずっと金額だけは敵わねーんだよなーと言うサッチの顔は言葉とは裏腹に誇らしげで、ここの人達の絆の大きさを改めて感じる。
「何だ。リリィのも有るじゃねェか」
「は?!」
「ええぇっ!?」
慌てて手配書の束をバサバサと捲る私の頭上から、クツクツと噛み殺した笑い声がする。
「…冗談に決まってるだろ」
「!!」
…成る程、こういう事か!
1人納得した私は、心の中でそっとゼロを書き足した。
私の中では、イゾウさんが最重要人物としてその金額を上げつつあった。
拍手お礼文 〜2013.10.08
prev /
index /
next