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きみの音で世界は。

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世界中の音を全部聞かせて下さい。

わたしならその中から、
あなたの声を探し出せるから――




「雨、いつの間にか降ってたんですね」

「ずっと音聞こえてただろ?」

「気付かなかったんですよ…音って不思議」

「何だ、また唐突に」

「だって、そこにもあそこにも必ず存在してるのに、そこに行けば聞こえる音がここに居るから聞こえないんですよ?」

「当たり前じゃねェか」

「イゾウさんてば…ばっさり切りますね」

「世界中の音、全部聞こえてたら大変だろ?」



うるさくて 煩くて 

ウルサクテ



「…でもわたし、イゾウさんの声ならきっと何処に居たって聞こえますよ?」

「なんだ、ルリがそんな事言うなんて珍しい事も有るなァ」

「…きっと雨の所為です」

「そうだな…なら俺は世界中の音が何も聞こえなくなっても…ルリの声なら聞こえるんだろうな」



聞こえていた筈の雨音も
喧騒も波の音も
何も聞こえなくなった――


拍手お礼文 〜2013.09.03

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