私のブチ切れ……いや、プラズマ団の襲撃から数週間が経った。今日も平和な一日になるように切に祈るわ。やぁやぁ我こそは、家政婦でありSPであり最強な…カオルさんだよ。いや〜…女子にモテるとかまじ勘弁。追い掛けられることはなくなったが、熱い視線を送られるのは変わらずである。アブノーマルなんてお断りだ…!!それに…私は最近気づいた。割と、ノボリさんとクダリさんがすきなのだと。……うん、朝からなに言ってるんだろうね。きっと疲れてるんだ。

…ふむ。今日は雲一つ無い…快晴。洗濯物?既に干してるわ。抜かりはねぇ。…あれ?昨日ノボリさんが朝礼でなにか言ってたけど…なんだったっけ?眠くて最後の方しか聞いてなかったんだけど……対応お願いしますとかなんとか言ってたから荷物が届くのかもしれんな。…ま、私には関係ないことだろ。

「よし、三人分の弁当は持った。今日は…ランクルスだな。行くぞ」

ふわりと浮かぶランクルスが嬉しそうな声を上げ、甘えるようにすり寄ってくる。お前は普通にしてたら可愛いのに、ヤンクルスになったら私でも恐怖するわ。…っと、遅刻しちゃう。ランクルスを撫でる私をジト目で見てくるチラーミィとゾロアークに苦笑する。

「留守番頼んだからな?」

行ってくる、と家を出た私とランクルスはギアステーションへと向かった。…早く、二人に会いたいな。…ヒィ!!ら、ランクルス…顔が、顔が怖い!私の邪心を感じ取ったのか!?さっきの可愛らしさが皆無だな、おい!いや…ランクルスさん、ちょっと落ち着こうぜ?外でそんな…サイキネぶっ放しちゃ駄目……ん?なんだあの人。

ランクルスの攻撃をかわす私の目に、キョロキョロと周りを見渡す…黒いコートを身にまとった金髪長身の外国人。めっちゃ目立ってますよあなた。もしかして…道に迷ったのか?しかし残念ながら私、英語喋れないんだよね。助けてあげたいのは山々だが……あ、目が合った。って!こ、こっちに来る…!!長い足でツカツカと私の前までくる外人さん。謎の威圧感にビビる私に彼はペラペラと話しかけてくるがさっぱり、分かりません。やべー…どうしたもんか。そのとき彼の口から聞き覚えのある単語が。…ハッ!私が分かる英単語の出番じゃないか!

「ぱーどぅんぱーどぅん!」

「Ahー……gear station?」

すげー…。私のぱーどぅんが外人さんに通じた。って違う違う違う。やっぱり!この人ギアステーションって言ってる!こんなに発音の良いギアステーション聞いたことないぞ。…えぇと、つまりこの人を連れて行けばいいわけね?おけ、把握した。…なんて言えばいいんだ!英語わかんねぇっての!考えに考えた結果、彼の腕を少し引いてみる。

「…えぇと、とぅぎゃざー!…ごー!」

「…thank you」

「ゆあ、…なんだっけ、…ゆあ…ゆあうぇるかむ!」

私の英語力は見ての通りだ。酷すぎて涙が出てくるな!なはははは!…通じたからいいんだよ!そして私は気づく。あ、遅刻や。…もういいや。今日はしょうがない。多分お客様だろ?ならしょうがないしょうがない!

暫く無言のまま歩き続け、ギアステが見えてきた。隣の彼に建物を指差し、ギアステーション!というと何かペラペラ言ってきたけど、全然わかんなかったから半笑いでそうですね、って日本語で返しといたわ。で、ギアステの入口に辿り着いたわけだ。きっとノボリさんにグチグチ言われるんだぜ…。ま、良いけどな。さてお兄さん、着きましたよ。じゃ、私行くからな。一礼し、立ち去ろうした。が、お兄さんの浮かべる微笑みの美しさに固まってしまった。微笑…まさに微笑である。そのお兄さんが口を開く。

「…助カリ、マシタ。アリガト。Ahー……アナタ、ヤラシイ、デス」

「!?」

違う意味でまた私は固まる。なん…だと?私がやらしい…だと!?どういうことや、と思ったがスッと無表情に戻ったお兄さんは会釈してそのまま中に入っていった。その後ろ姿を呆然と見送る私だった。あるぇ?私、良いことしたのになんで朝から傷ついてんの?


prev next
back

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -