……んあ?ここ何処や。パチリと目を覚ませば、私は大きなベッドの上に寝転がっていた。…なにこれ。もしかして私拉致られた?よしよしちょっと記憶の整理しようぜ。えっと…昨日家に帰ってきて、家政婦の仕事終わって…自分の部屋で寝た。わお。整理する意味がなかったな。…一体私が寝てる間になにがあったし。

ぼんやりとした温かい橙色の明かりが眠りを誘うが寝てる場合じゃないよな。うむむ…全くもって見覚えのない部屋だな…。いや、部屋じゃねぇな…これはホテルの一室っぽい…。え?拉致られた?まじで?そりゃ逃げんとな!ベッドから降りた瞬間である。カチャリとドアの開く音がして、私は身構える。……やられる前にやる。拳を握り、いつでも殴れるような体制でいたのだが、現れた人物に私は一気に脱力した。

「あー!ナマエやっと起きた!」

「ナマエ様、おはようございます」

「あんたら…」

おはようじゃねぇよ。てかここ何処だよって話だ馬鹿たれ。たく、警戒して損し……あれ?なんか、二人の様子がいつもと違う気がする。にんまり笑顔とへの字口の彼らをじっと見つめる。目が、……ギラついてる?あ、こりゃヤバい。この場にいたらまずいと本能的に感じ取った私は二人を横切ろうとした。が、クダリさんに手を掴まれて阻止されてしまう。

「…おい、離せ」

振り解こうと力を込めるが何故かわからないけれど、いつものように…力が入らない。普段なら簡単に振り解けるのに…。や、やばい…!慌てる私にそれはもう楽しそうにクスクス笑うクダリさんが、そのまま手を引いた。…何故かベッドに座らされたんだが。この時点でナマエさんの頭の中は大パニックですよ。えっと…暗い部屋にベッド…そして様子がおかしい双子と私。はい〜、十八禁な気配がしてきたよ〜。って、勘弁勘弁勘弁!!

「どうしたんだよ…。てかなんだよ此処は…」

「秘密、でございます」

「……な、なに!?なに!?」

私の手をとり、ノボリさんが跪いて私を見上げる。なにこれ。ちょ、ちょ…どうしたんだよ!?こんなイベント聞いてないですよー!って、く、クダリさん!?反対の手をとるとノボリさんと同じように跪いて、じっと私を見上げるクダリさん。ど、どうしたらええの!?

「…わたくしとクダリは、話し合いを重ね、一つの結論に辿り着いたのです」

「け、結論…?ちょっ…!」

二人が私の手の甲に、唇を落とす。ちゅ、とリップ音がして私の顔に熱が集まる。な、なにしてんだあんたら!急いで手を引いた。そんな私の様子ににんまりと笑うクダリさんが口を開く。

「僕たち決めたんだ。二人で、ナマエを愛そうって」

「あ、愛……!?」

咄嗟に後ずさるが、如何せんベッドの上。つまり…私は逃げられない。ギシリ、と音を立ててベッドに上がってくる二人に私は恐怖した。こいつら…本気やで…!枕で抵抗を試みるがあっさりと突破されてしまい、私に出来ることは暴れるだけだが…二人に身体を抑えつけられ、それも駄目だった。まじかよ…。余裕そうに私を見下ろす二人が笑う。

「わたくしたちだって…」

「男の子、なんだよ?」

その言葉に目を見開く。……で、あれよあれよと服を脱がされて、私は下着姿になってしまったわけだが…。ぜ、絶対こいつらだけは脱がないからな…!最後で最弱な砦…下着。駄目だ、勝てる気がしない。必死に身体を隠すが絶望しかないわ…。

「……くそがッ!」

盛大に悪態をつく。なんだって急にこいつらは…!どうにかこの現状を打破できないかと頭をフル回転させるが、良い案がさっぱり浮かばないではないか。おい、やめろよ。今世紀最大の貞操の危機だよ。…ノボリさんそんなに見るな…!!高揚して、…欲情に満ちた瞳で私の身体を眺めるノボリさんの口角が上がった。

「ナマエ様…とても、綺麗です」

「ひゃっ……や、やめろ…!くすぐったい!」

ノボリさんの大きな手が露出した私の足を撫でる。太ももや、膝の裏までゆっくりゆっくり堪能するように触られ、くすぐったさと、…謎の痺れるような感覚に私は戸惑う。なに、これ。私こんなのしらない!ノボリさんの手をどかそうと上体を起こしたのがいけなかった。にんまり笑うクダリさんがその空いた少しのスペースに座り、私を後ろからギュッと抱き締めてきたではないか。

「クダリさん…!貴様…、はなせよ!はなせって!」

「口がいつもより、うんと悪いね、ナマエ。そんなに余裕が無いんだ?…もっと意地悪したくなっちゃう」

「……ッん!…ちょ、今の声気持ち悪…!」

自分の口から出たとは思えない甘い声に引いた。ナマエさん今のなに〜?引くわ〜。耳元で囁かれただけなのに引くわ〜。…まじでもう嫌なんだけど!あ?二人の動きが止まっ…た?ヒィィ!ノボリさんがキラキラした目をしているではないか!…うひゃ!ぶ、ブラのホックが外された…だと!?

「ちょ、まっ……やめろって!!」

「今の声、すっごく可愛い!もっと、聞かせて?僕、がんばるから!」

「さぁ、遠慮なさらず、…ご自分を解放なさいませ」

熱の籠もる本気の彼らの言葉にじわりと涙が滲む。下着を取られないよう必死で押さえながらギュッと唇を噛み締める。

「頼むから…本当に…やめてよ…」

もう恥ずかしくて限界。泣きそうだもん。いや泣くわ。恐らく今の言葉が効いたのだろう。双子から戸惑う空気が伝わってくる。ばーかばーか!セクハラの域を超えて完璧な犯罪なんだからな!訴えてやる…!と文句を吐いてやりたいが、涙がポロポロ落ちてきて無理だった。……こわいっての!

そんな私をまたクダリさんが抱き締める。…馬鹿が、許してやらないからな!…って、んんん!?今度はノボリさんが私にちゅーをしてきたんですけど!今の私の言葉きいてました!?私の思いも虚しく、火傷しそうなくらい熱い彼の舌が口内をかき回していく。酸素が、足りない!そして、ぬるりと、生温かい何かが背中を這う感触にピクリと身体が揺れる。な、舐められてるるるる!?

「ふ……や、やだ……ん!」

やっと唇が離れたかと思うとまた深くちゅーをされて、私の頭はくらくらしてきた。それに追い討ちをかけるかの如く、首筋と耳朶を軽く噛まれ、また身体を電流のようなものが走る。……勘弁、してくれ。力が抜けて、完全にクダリさんに寄りかかる。そっと距離を取ったノボリさんが口を開く。

「怖い思いをさせて申し訳ございません…。ですが、もうわたくしたち…止められないのです。なのでせめて…」

「優しくする。だから、僕たちに身を任せて。ナマエは、大人しく愛されてたらいいよ」

なんだよそれ。申し訳ないで済むなら警察はいらねぇんだよ馬鹿たれ。…だがもう考えるのも億劫になってきたわ…。二人の手がゆっくり私の身体を責め立てていく。…さようなら、私の貞操。






目を覚ませばいつもの天井、いつものベッド、いつもの私の部屋。…あれ?私は双子に貞操を奪われたんじゃ…?あるぇ〜?もしかしてあれですか、夢オチってやつですか?わお!これほど夢オチが素敵だと思うことはないぜ!いやったぁあああ!!朝から叫ぶ私をチラーミィが噛みついてくるが、それすら素晴らしいと思える。不思議。

…そか。昨日は私だけ帰ってきたら双子はいねぇのか。じゃあ弁当だけ作ってちゃっちゃとギアステにいくか!あぁ、夢オチ素晴らしい!

「カズマサ、おはよう!今日も素晴らしい朝だな!」

「ナマエちゃん機嫌がいいね〜。なにか良いことでもあったの?」

「いや、なにもない!」

そう言えばカズマサが不思議そうに首を傾げた。お前はなにも分かっていないな…。なにもないことが、素晴らしいんだよ!平和…そう平和なんだ!心の中で熱く語りながら、腕章をつける私にカズマサが、「あっ、ナマエちゃん!」と声をかけた。なんだと視線を向ければ、私の首元を指差した。

「虫に刺されたの?赤くなってるよ」

「…………ごめん。ちょっとトイレいってくる」

指摘された所を手で隠しながらトイレへと駆け込んだ私は鏡で確認し、青ざめる事となる。首だけじゃなく、胸元にまで赤い印が沢山ついているではないか。う、嘘だろ…?だ、だって夢オチだろ…!?…夢オチだと、誰か言って!!!





後書き

某方と話していて滾った結果だよ…。もう少し艶っぽく書きたかったけど、これが私の限界のようだ…_(:3」∠)_ 二人は時間をかけてたっぷりしそうだよな、っていう妄想ですよ。足から責めるノボリさんと背中から責めるクダリさん…。じっくり時間をかけて全身を愛してくれると、私は思うんだ!うん!←

さてこれが夢オチだったのかどうかは皆さんの判断にお任せします…ふふふ←

今度は…ヤンデレに挑戦すると心に決めました。今回はヤンデレ要素がいれる事が出来なかったので…orz
次回はもっとドキドキするような話を書きたいぜ!



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