プラ男が逃げて行った道を走って行くが、プラ男が発見出来ない。くそ、あいつ何処に行きやがったんだ…。こちとら走ってばかりで汗だくなんだよ、全く!流れる汗を乱暴に肩で拭い、どんどん走り進む。地下鉄だからか?なんだかちょっと薄暗いな…。ん!?向こうから足音が聞こえるじゃない…。立ち止まり、音のする方を睨みつける。うむ、近いな。


「…傘の準備はOK、奴をボコる心構えは…おっけぇぇぇ!!!!」


よっしゃぁぁ!覚悟しろや、プラ男ぉぉお!!!!今私は、風になる。そんな勢いで突っ走れば、前方に人影を発見!ぎりっと傘を強く握り締める。


「プラ男ぉぉお!!少女のポケモン返せやぁぁぁぁ!!!!」


ツカツカとした足取りのプラ男に向けて傘を振り上げた瞬間、奴は振り向いた。ハッ!今更気付いたところで遅……ぷ、プラ男じゃねぇぇええ!!さてここで問題です。完全に殺る気で振りかざしたこの剣(というなのビニール傘)、急に止められるでしょーか?答えは…無理でーす。というわけで、ぎゃぁああああ!!避けてくれぇぇぇ!!と顔を青ざめる私はトドメを刺された。暗がりで見えなかったが、この人ノボリさんやないかい!!!!

しかもノボリさん、頭に当たるそのすんでのところで、傘をパシッと掴み攻撃をかわしたのである。…やっべぇ…。ノボリさんが動くなって言ってたの忘れてた…やっべぇ…ノボリさんに攻撃しかけちゃった…。カオルさんに死亡フラグが立ちました。

「ノボリさんんんん!!ごめんなさい、ごめんなさい!プラ男と間違ったんですよ!あ、プラ男って言うのは幼稚園児からポケモン奪ったクソ野郎で……んぐっ!」

ノボリさんはニンマリとした笑顔で、己の人差し指を私の唇に押し当てた。黙れやってことですね。ひ、ひぇぇぇ…めっちゃ怒ってるるる!薄暗いから余計に怖く見えるその笑顔にガクブルである。

「僕、クダリ。ノボリじゃないよ。君はノボリのお知り合い?」

可愛らしく首を傾げるこのお方、どうやらノボリさんではなくもう一人のなんとかマスター、クダリさんだったようだ。…あぁ、良く見たら制服が白いやないかい。私何故気付かなかったし。

「知り合いというか…助けて?頂いた?…いやちょっと良くわからんな…」

「ふーん…。まぁ、いいや!でも、いきなり人を傘で殴ろうとしたら危ないから駄目だよ?」

「本当に…すみません…。ちょっと高ぶっちゃって…あぁぁぁ!!ヤバいヤバい!!プラ男が逃げちまう!」

本来の目的を思い出して思わず叫ばざるを得ない。すまん、クダリさん…私は行かねばならないんだ。

「申し訳ない!私、プラ男を捕まえなきゃいけないので失礼します!じゃ!」

「あ、君!」

「クダリさん!攻撃しかけて本当にごめんなさーい!!」

何かを言いかけたクダリさんを置いて私はまた走り出す。ちょっと時間経っちゃったけど、逃しはしないぞ、プラ男…!神様に生き返らせてもらった私から逃げられると思うなよ!…そう言ってしまうとゾンビみたいでやだな。



「行っちゃった…」

「クダリ…!!背の低い…変なテンションな女性のお客様を見かけなかったですか!?」

「あー…たった今見たかも」





.


prev next
back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -