チラーミィ達と合流した私はアホみたいに荒れ狂うサザンドラに少しビビっていた。いや、やっぱりさ、顔が三つもあると威圧感かな?まじで威圧感半端ないわ。流石は600族ってか?ま、どんな攻撃受けても余裕で耐えられますがね。どやぁ。今日も立派に壁役を務めようじゃありませんか。

っと、そんな事を考えてたら早速サザンドラが攻撃を繰り出そうとしているがな。どす黒く、禍々しい空気が辺りを包み、ギラギラ光る赤い目が私を睨む。あ、標的は私なんだ?おま、いきなり人間狙うってどういう事や。

「総員、私の背後に隠れろー!あ、ランクルス、一応ひかりの壁展開!」

そう指示を出した直後、サザンドラの口が大きく開けられた。ぐるぐると黒い衝撃波が渦巻いたかと思うと、それは真っ直ぐ私に向かって放たれた。悪の波動か…なるほど、メインウェポンですね。分かります。片手で顔を庇い、悪の波動を受け止める。衝撃でずっこけそうになったわ。危ない危ない。…うお、床が悲惨な事になってんで。


あ、私?余裕で無傷。チラッと後ろを見ればゾロアーク、チラーミィ、ランクルスの順番に綺麗に整列していた。なるほど、ランクルスを庇ったのね。偉い偉い。どうやら皆も怪我はないみたいだ。よし、なれば反撃といこうか!

「ランクルス、チラーミィを飛ばしてくれ。…お前の石頭に期待している」

頼んだぜ、と親指を立てればチラーミィはニヤリとその可愛らしい容姿からは想像出来ない様な悪い笑みを浮かべた。うむ、良い笑顔だな。さて、私達はその間サザンドラの注意を引きつけなければな。…えーっと、サザンドラって動くものに反応するとか図鑑に書いてたよな。よっしゃ、走り回るか!…安直な考えで悪かったな!

まぁ私とゾロアークがウロチョロ必死に走り回ったお陰でチラーミィは無事奴の頭の上まで飛ぶ事が出来た様だな。チラーミィがこいやぁ!と私を見詰める。…時は満ちた。

「チラーミィ!ロケット頭突き…もどき!」


フッとチラーミィの体を包んでいた淡い光が消えた。ランクルスが念力を解いたのだろう。そのまま良い笑顔で落下していったチラーミィは見事、奴に頭突きをお見舞いした。凄い鈍い音がしたけど大丈夫か…?ゾロアークにキャッチされたチラーミィはやってやったぜ!と得意気な顔をしていたのでどうやら平気みたいだ。良かった。しかしサザンドラの方は急所に当たったのかフラフラしている。…あ、なんかいけそうな気がする。

「よっしゃ、いっちょやってやるわ」

助走をつけて、思い切りジャンプした。思いの外、高く飛べて焦ったわ。やっぱり私人間を超えてるよな。そんな事をぼんやり考えながら、未だにフラフラと飛行を続けるサザンドラの首を掴む。暴れるが離すもんか。ガッチリホールド!そのまま背負い投げの要領で空中でくるりと回り、そのまま地面に思い切り叩きつける。私背負い投げとかしたことないけど綺麗に決まった決まった。なははは。

「一本!なんつってな」

お前らお疲れー、とハイタッチしながら笑いかける。さてさて、後はエリ男を叩き起こしてサザンドラを引き取ってもらって私は帰る!よし、いい加減起きろやエリ男…?お、お前起きとるやないか!何をぽやっと突っ立てんだよ!早く戻せや、と睨むと慌ててボールをサザンドラに向けた。赤い光に包まれサザンドラは無事ボールへ戻った。

「…もう暴れさせんなよ。じゃあな」

さて、今日の晩御飯は何を作るかな。確かあそこのスーパーのチラシが入ってたな…。家に帰ってから考えるか、と歩き出した私の肩をガシリと誰かが掴んだ。…おい、エリ男…貴様大概にし…。あん?ノボリさん?とクダリさんもいる。てっきりエリ男かと思ってめっちゃ睨んでしまった。しかしノボリさんはそんな事を気にする様子もない。なにこれ。…あ、わかったぞ。

「弁当っすかね?向こうで誘導してるおっさ…鉄道員さんに渡しましたよ」

じゃ、とまた歩こうとしたがノボリさんは手を離してくれない。だからなんやの。私弁当以外に理由が思い付かないんですけど。もしかして弁当の中身ぐちゃぐちゃになってました?と声をかける。これがいけなかった。違います!とノボリさんが声を荒げてカオルさんびっくり。


「また貴女はこんな無茶をして!ご自分が何をされていたのか理解しているのですか!?心配する身にもなって下さいまし!わたくし常々思っておりましたがカオル様は…!」

「ノボリ、落ち着いて。カオル、固まってる。…でもカオルが悪いから仕方ないけど」

珍しく怒りを露わにするノボリさんを制止するクダリさんの言葉に私は首を傾げる。なんで私が悪いんすか?割と良いことしてると思うんだけど。はてなマークを浮かべてチラーミィ達を見るが彼等もわかんねぇといった表情を浮かべている。…まぁ、心配させたみたいだし…とりあえず、謝ればいいかしら。…あ、おっさんや。

「ボスー!お客様の避難無事終わりましたでー!…ってお嬢ちゃんやないか!」

「おい、おっさん。まじでいい加減しろよ。私は成人済みだ」

身長のせいで幼く見られますが私これでも成人してるのでお嬢ちゃんは止めてくださ……あれ、私今本音の方を口にしたね。しまった。…あぁもういいや、めんどくせ。カオルは考えるのを放棄した!▼
ってボス!?誰がボス!?え、この二人?…そ、そうか。そういえば偉い人だったね。忘れてたわ。…何謝れば良かったけ?ポケモン虐待紛いなことした事だっけ?


「えぇと、サザンドラを盛大にボコしてすみませんでした。次は優しくボコします」

「カオル様…!貴女、全然反省しておりませんね!?」


あ、違ったわ。心配させた事について謝るんだったわ。んもー、クダリさん助けて下さいよ、視線を向けるが「もうフォロー出来ないよ」とニンマリ笑顔である。まじかよ…。長い説教になりそうだと視線をノボリさんから後ろの大破した列車に向ける。あーあ、私に説教するよりやるべき事があるだろうに。これ言ったら説教が長くなるのが目に見えてるから言わねぇけど。




「…あの嬢ちゃん、どっかで見たことある気がするんやけどなぁ…」





prev next
back

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -