医療行為で事故チュー。略して医療事故なあの日から数日が経ったが、割と平和な日々を過ごせて私は大変満足している。クダリさんも次の日には復活していたし、何より医療事故の事に気付いていなかった事に安堵した。お陰で私は普通に接する事が出来るしな。たまに、クダリさんの唇を自然に目で追っている自分がいるという事実に気付いては悶え苦しむという発作が起こるけど平和だ。素晴らしい…。

ちなみに、今日はお二人共仕事はお休みらしいので珍しく三人揃っているのだ。いや〜、とても気が楽です。だってだよ?ノボリさんと二人になると妙に乙女になる彼に気を遣い、クダリさんと二人になれば医療事故を思い出して罪悪感に襲われる。しかし三人だとそれは無くなるわけだ。

「いつの世も…平和って、大事だわ」

「急にどうしたの、カオル」

「…クダリさん、死にたいんですか?」


いやそうとしか思えんだろう。ベランダで洗濯物を干す私を後ろから抱き締めるとかあんたそれただの自殺行為やで。ほら見てごらん。君の隣に浮かぶダブランの無表情っぷりを。下手したらサイコキネシスで頭パーンだからな。なので邪魔です、と足を思い切り踏んでやったわ。

「いったぁーー!!カオル酷いよ!僕なにもしてないのにー!」

ぷんぷんって効果音が聞こえそうだな。全く…クダリさんには感謝して欲しいくらいだぞ。頭パーンから救ってやったんだから。てかあんた…なにもしてない事はないからな。最近、クダリさんがよく私に抱きついてくるんです…なんで?あれかな、過剰なスキンシップ的な?迷惑過ぎるんですけど。良い大人がそんな感情表現しないで下さい。まじで。

うーん。今日はとても気持ちが良い天気だ。洗濯物がすぐ乾くな〜。あー…わかった。わかったからすねを蹴るのは止めろ、チラーミィ。最近こいつは確実に急所を狙ってくるのだ。恐ろしいわ…!!

「なんでもかんでもなぁ、暴力で片付けようとするのは止めろよ…」


ポケモンフードを貪るチラーミィは私の言葉を見事にスルーしている。…ま、そんなに痛くないから良いけど…少しは綺麗に食べるダブランとバチュルを見習えばどうかな?あ、そうですよね。無理ですよね。

「…暴力の化身だけど可愛いんだもんな」

「カオル様は親ばかでございますね」

「お、ノボリさん」

おい。何を微笑んでいるんだ。あんたはへの字口がデフォでしょ?駄目駄目そんな顔したら。う、うっかりキュンとしちゃうだろうが。知ってる?ノボリさんの笑顔ってね、すっげぇ可愛いの。すっげぇ癒されんの。たまに乙女過ぎると扱いに困るけどな。…最近ノボリさんの笑顔を見るのが増えてる気がするよな。ジッと見つめていれば徐々に赤く染まっていく耳と頬。しまったー!

「そ、そんなに見つめないで下さいまし…」

両手で顔を覆い恥じらう姿は恋する乙女の様だ。…ちょ、なんでクダリさんもいるのに乙女化してるの?今日は平和な一日になるはずだろ?…平和じゃ、ない…だと?
…そうだ。今日は野宿をしよう。…野宿?その単語が妙に引っかかる。なんだ?なんか忘れてる気がす…る…。

「あぁああああ!?」

「わぁああああ!?」

私の叫び声に驚いたのかノボリさんまで悲鳴をあげた。なにこの不協和音。ノボリさんが叫ぶとか。普段の私だったら多分ヒィヒィ笑ってたと思うがそんな余裕はなかった。16番道路のお姉さん!!ここ数週間全っ然会ってなかった!!お世話になりますと言っておきながらな!
うお…!?こらこらチラーミィ、私が叫んだからってノボリさんにメンチ切るのは止め……だ、ダブランさんんん!?刃物がふわふわ浮いてますけど!?いかん…ノボリさんの命が危ない。

「ノボリさん!散歩に行ってきます!」

「え?あ…カオル様!」

「夕方には戻りま…ダブラン止めろ!コホン…じゃ、行ってきます!」

二匹をガッチリホールドし、私はバタバタと家を飛び出した。不満そうな表情を浮かべるダブランと全力で噛み付くチラーミィに少しは加減というものを知ってもらいたい。…こいつらが私を守ろうとしてくれるのは凄く嬉しいけどさ。…よし、お姉さんの所まで全力疾走だー!




「今悲鳴が聞こえたけど大丈夫!?」

「く、クダリ!下着が丸出しでございますよ!」

「だってトイレに入ってたんだもん!」



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ダブランがハッスルしてきましたよ\(^O^)/←



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