なんでや。なんでノボリさん寝ないんですかぁぁ!?もう0時過ぎてますよー?明日も早いんですよねー?…この新たな拷問なんやの?あの後、お互い無言でコーヒーに口をつけるのであった。ノボリさん結構砂糖入れてたからもしかしたら甘党なのかもな。…既にクダリさんのボタンは付け終わっているのに。なんか…ね、立ち去り難いし?…空気重すぎワロタ。

「…申し訳ございません」

「は、はい!?」

突然の謝罪にたまげた。コーヒー含んでたら吹き出してたわ。で、なに?いきなり何の謝罪なん?恐らく濁ったような目をしているであろう私はノボリさんを見やる。ノボリさんは相変わらずのへの字に口を結んでいるが、なんだか落ち込んでいるように見える。ついに表情を読み取れる様になったか…私すげぇ。

「…わたくし、駄目でございます。考えたらいけないとわかっているのにどんどん考えてしまう…」

「はぁ……なんで私が謝られたんすか?」

「わたくしの態度で…カオル様にご迷惑をお掛けしておりますよね…」

そうですね。…あっぶね!素で言いそうになったぜ。よく耐えたぞ私の口よ。確かに、確かに困ってるよ。一体何を考えてるのか分からんが明らかに私巻き添え食らってるもんね。いや、まぁ…ノボリさんも色々あるんだろうけどね!そこはちゃんと理解してるからね!あんま気にしてませんよ〜とほんの少し笑みを浮かべてみせる。

「…まぁ、ちょっとは…ね。でもノボリさんもなんとかマスターで大変なんでしょうし、…私で良けりゃ話聞きますよ?」

愚痴とかあるだろ?ほれほれ言いなさいよ。…しまった。本人になんとかマスター言っちゃったよ!そこはスルーしてくれ、ノボリさん!…よし、何か話が長くなりそうだからコーヒーおかわりするか。ノボリさんの分も作りますよ、とソファから立ち上がった。が、なんか手に違和感……は?ノボリさんが、切なそうな顔して私の手を掴んでいる。…ちょっと可愛いとときめいた自分がいたのにびっくり。

「行かないで、下さいまし…」

「わかった…わかったっす。…あんた、一体どうしたよ、本当に…」


こんなに参ってるノボリさんって初めて見る。こりゃ相当疲れてるな…。よしきた。家政婦のカオルさんが愚痴を聞いて癒やしてやろうじゃないか。ノボリさん、四徹しようぞ!…駄目や、ちょっと調子に乗りすぎた。ある程度に夜更かししよう。そうしよう。で、いつまでも手を繋いでんの?なんなの?今夜は寂しいでございますとかそんな事言うんじゃないでしょうね。エブリデイ顔合わせないかんのにワンナイトラブとか嫌すぎるわ。あんまり上手い事言えてないって?わかってるわ!!もうね、私どないしたらいいんだよー!!

「…わたくし、日頃からカオル様に感謝しております。そして心から尊敬しております」

い、いきなり何の告白?いや、まぁ、尊敬してますとか言われて悪い気はしないけどさ。そりゃあんた、ゴミ屋敷から普通の金持ちの家にクラスチェンジさせたからそれくらい思ってもらえて当然だよね。相槌を打ち続きをどうぞと促す。

「ですが…。わたくしこのままだと、それ以上の感情を…抱いてしまいそうなのです。いや…もしかしたら既に…」

ちょ、ちょ、ちょっと待った。何事ですか?これは一体何事ですか?まるで乙女ゲー的な…イベントやないかい。まてまてまて。だからワンナイトラブはお断りって言ってるだろ。私の貞操は守らせて頂く。必ずな!





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