プラズマ団襲撃事件後、警察のなんやかんやでギアステーションは二日間営業を停止していた。ギアステにはバトルトレインだけでなく、普通のトレインも動いているわけだから普段利用してるお客様が大変だろうという警察の配慮で、本来なら一週間は掛かるところを二日にしてくれたんだとさ。あ、そうだよ!きいてくれよ!私捕まらなかったわ!警察もプラ男たちの怪我を見て少し…いや嘘吐いてもしょうがないよな。かなり引いてらっしゃったけど、厳重注意で済んだのだ。ありがとうジュンサーさん…。

とまぁ、平和が訪れたかに見えたギアステだったのだがさ…全然平和じゃねぇ…。どこぞのコガネ訛りのおっさんが「良いCMになるやん」とかなんとか言って、私がポケモンとバトっている映像をマスコミに送りやがってなぁ…その映像が受けたのか知らんがテレビで馬鹿みたいに放送しやがってあのマスコミ共がぁああ!で…。

「何故にこうなるんだ…!?」

「カオルのせいでしょー!!僕たち、巻き添え食ってる!」

「クダリ!文句を言う前に逃げますよ!」

背後から黄色い声が聞こえてカオルさん泣きそうなんだけど。「ノボリさんきゃー!クダリさんきゃー!」ならまだ分かるんだ。「カオルさまきゃー!!」ってどゆこと?なにがあったし。って、エリ子エリ子エリ子。あんたも一緒になって叫んでるんじゃないよ!クラウドのおっさん…トウコたちとバトルした以上に宣伝出来て良かったね!まだ先の話なのにな!私は全っ然良くないけどね!?

朝から逃げっぱなしで流石の私もキツい。でも捕まりたくない。捕まったら怖いことになりそうじゃん?あぁ、もう…誰か助けてくれよ…。溜め息を吐いたその時だ。背後が急に騒がしくなった。いや、うるさかったけどさ、黄色い声じゃなくなったと言いますか…。二人も不思議に思っているみたいだ。…じゃあ、ちょっと足を止めて、と。振り返った私が見たのは、ふわふわと浮かぶランクルス、本来の姿のまま腕を組むゾロアーク、そしてその二匹に挟まれセンターに立つのはチラーミィ。

お、お前ら…どうした?ヤツらの思わぬ登場にこっちまで動揺するわ!呆然と三匹の後ろ姿を見つめていると、チラーミィがゆっくり振り向き私たちに向けて親指を立ててみせた。…ごめん、チラーミィ。良い笑顔で親指立てられてもさっぱりわからないですわ…。余計に混乱する私に苛々しているのか、歯を剥き出しにするチラーミィは今日も酷い顔!▼である。

「いやいや……ん!?」

ランクルスの身体が淡く光りだしたと思うと、今度はゾロアークが笑顔を向けてきたではないか。そして頭の中で、優しい声が響く。

「ここは、わたしたちに、まかせて」

ゾロアーク…ランクルス…。そういうことかよ…。全く…ありがとな。チラーミィも!ニッと笑いかければ、嬉しそうにする三匹。お前らは…最高で最強な、私の家族だよ!でも怪我人は出さないでね…!そこんとこ宜しくな!

「頼んだ!さ、逃げましょう、ノボリさん、クダリさん!」

「え?は、はい…!」

「あ!まだ追いかけてくる!」

手加減したあいつらの防衛ラインを突破した連中が追いかけて来やがる…。えぇい、しつこいなぁ!舌打ちする私の手を、誰かが強く引いた。


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