消えて無くなりたいと思うくらい恥ずかしいこと…したことある?私?あるある。てか昨日のことなんだけどね。今思い出しても…うあぁあああ!!ってなるんだけど、どうしたらいい?

「…昨日の私をどうにかして消せないかなぁ。無理かなぁ…無理だよなぁ…」

あ、そうだ!このフライパンで私の頭を思いっ切り殴ったらうっかりそこだけ記憶が無くなるかもしれん!私ったら冴えてるじゃない!よしよしこれは試してみるしかあるまいよ。だがしかし、フライパンを握り締めた私の手をだね…チラーミィが力の限り噛みつくわけだ。止めろってこと?てか…いってぇ!おま…いってぇよ!…おうふ…、至近距離で酷い顔!▼を見たら怒る気がガクッと下がったわ…。

…あらやだ、もうこんな時間じゃない。そろそろ家出ないとカオルさん遅刻しちゃうわ。昨日は…まぁ、色々あったから一人で帰ってきたんだ。だから双子はいない。絶賛ギアステに泊まり込み中だ。…会ったら私発狂するかもしれん。特にノボリさんだよノボリさん。私昨日…ノボリさんに…いや考えたら一時間悶え苦しむ事になるから止めよう!

「行くか…。うし、じゃあ今日はチラーミィかな?」

視線を向ければ、よっしゃ!といった様子で私の肩に登ってくるチラーミィ。朝から元気だな、お前はさ。じゃあ留守番頼んだぞ、と歩きだそうとした私をランクルスが止めようとするではないか。え?ど、どないしたん?お前は昨日行っただろ?首を傾げるがランクルスは必死な顔で、クダリさんに化けて呑気にご飯を食べるゾロアークと、己を指差した。…えぇっと、皆連れていけよ、ってことか?

「連れていきたいのは山々だけど…怒られるんだよ〜…。すまん、ランクルス」

…おい、今お前舌打ちしたな?どうしてお前の性格はそんなにねじ曲がったわけ?…私のせいなわけないじゃーん。…違うよな?悪い顔をして舌打ちするランクルスがゾロアークに視線を向けた。ゾロアークは頷くと、テレビに向かい、パチンと電源を入れた。…え、テレビ見る時間無いんですけど。しかし、ゾロアークに背中を押され私はテレビの目の前まで連れて来られたわけだ。

「なんだよ〜…。テンマくんの天気予報ならもう終わってる………はぁ!?」

いや…、ちょ、ちょっとまて。この生中継されてるのはギアステだよね?…うん、ギアステだ。おい、女子アナ、もう一回言って。私の聞き間違いかもしれないからさ。いや聞き間違いに違いない!だが緊迫した様子のアナウンサーの言葉は私の願いを無情にも打ち砕く。

『こちらは、ライモンシティのギアステーション前です!プラズマ団が、乗客や職員を人質に立てこもっています!要求は…ポケモンの解放です!』

ま、まじで?あいつら…まだ懲りてなかったわけ?乗客に職員…を人質に…。てことはだ…。

「あいつらが、あぶねぇ…!」

怪我してないか…?いや下手したら殺され…!!最悪な事態を予測して青ざめる私の肩を、ゾロアークがぽんと叩き微笑みを浮かべ、肩に乗るチラーミィが珍しく頬を擦り寄せてくる。そしてランクルスが深く頷いた。……そう、だったな。私には。

「お前たちという、心強い仲間がいる。…きっと皆無事だよな。うん、そうに決まってる」

そうだよ。簡単にやられる奴らじゃないもんな。テレビの電源を切り息を吐く。よし…、気合いを入れていざ参ろうか。ゾロアーク、ランクルス、チラーミィ…それぞれと目を合わせる。…私を信じて、ついてきてく…って、チラァァァミィィィ!!!顔が酷い顔が酷い!今めちゃくちゃ良いとこでしょ!?なんで…おま…突然白目になるわけ!?悪ふざけにも程があるわ!
…はぁ、気を遣うなよな、戦友。苦笑する私に満足そうに頷くチラーミィをひと撫でし、歩き出す。


目指すは、廃人の集うギアステーション…。


「私が守るんだ。大切な居場所を、大切な人を…!」




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