久し振りにぐっすりたっぷり眠ったお陰で次の日には頭痛も治まり、今日なんか良いことあるんじゃね?と朝ご飯を作るためキッチンに向かって声を失った。一体何があったし。床に散らばる食材やら砕けた皿やら…その中央に君臨するのはエプロンを付けて鼻歌混じりに何かを作るノボリさん。良いことなんか…ねぇじゃん…!一気にテンションが下がったわ。もうやだ。仕事行きたくない。
「おい、あんた朝から何故に破壊活動をしとるんだ…」
「…カオル様!今朝はわたくしが朝食を作りますのでまだ休んでいて下さいまし」
「その気持ちは有り難いが私が作ろう…。そして怪我する前にそこから出てきなさい。早急に」
朝から面倒臭いことをやらかすなぁ、乙女よ!あんたのそれはドジっこでは済まされんからな。破壊神やで。破壊神。ムスッとした顔のノボリさんが渋々こちらへと戻ってくる。…なんかあんた感情豊かになったな。なんでや?……ハッ!わ、私昨日ノボリさんにちゅーされてたわ!…くそー!忘れてたのになんで思い出すんだ…っ!あかん…。今私めっちゃ顔が赤いわ。そんな私を見てノボリさんが何故だか微笑んだ。 …今日は疲れそうな一日になりそうやで。
*******
えっと…あの…なにこの空気。女子共からの視線が超痛いんですけど。え?今日はチラーミィだよ?確かに今日のこいつは機嫌悪いけどお前等に危害は加えないぜ?ギアステ内の異様な空気に怯える私と、何故か堂々としたノボリさんである。…誰か、どういうことか説明しろし。あ、クダリさんや。元気が無さそうなクダリさんを発見した。…あんたも一体どうしたよ。まぁ…いいや。駆け寄ってクダリさん、と声を掛ける。
「クダリさん助けてくれ。あ、間違えた。おはようございます」
「カオル…!」
「おうふ!」
何故か抱きつかれた。やめてやめて。女子共の視線が殺意に変わったからやめて。なんでわざわざ死亡フラグ立てやがるかなぁ!抵抗する私を救おうとしたのか、チラーミィがクダリさんに頭突きを食らわした。…も、悶絶しとる。チラーミィ、お前の気持ちは嬉しいがちょいやり過ぎや。そんな視線を向けるが歯を剥き出しにして睨まれてしまった。コホン!…で、どうしたの?
「大丈夫っすか?」
「う、うん。でも良かった…。昨日、医務室からカオルが消えたから…心配してたんだ」
「…おい、ノボリさん、どういうことや」
急に静かになったノボリさんを見るが、への字に口を結んだまま何も話そうとしない。…私、一体どうやって家に帰ったんだ?チラーミィ何か知らな…いやなんでもない。酷い顔!▼なチラーミィは置いとこう…。あ、そうだった。鞄の中から弁当袋を取り出しクダリさんに、はい、と差し出す。
「今日もお仕事頑張りましょう」
「…ありがとう。カオルは、無理しないでね?」
「無理してるつもりはないので大丈夫っす」
私そこまで頑張ってないから。面倒臭いことはやらない主義だし…巻き込まれるけどな!それに割とこの仕事…楽しいし。女子共は嫌だけどな。てなわけだ、二人といるとろくな目に合わん、とそそくさと立ち去る。途中ノボリさんに引き止められたがチラーミィのタネマシンガンで撒いてきた。 はぁ〜…女の嫉妬まじ怖いわ。溜め息を吐き朝から疲れるわ、と零していると、お嬢ちゃんやん、と呑気そうなおっさんの声。視線を向ければやはりおっさんがいた。
「朝からいちゃついとったんか?若いなぁ!」
「チラーミィ、力の限り頭突きを食らわせろ!」
「わー!冗談や!冗談!」
馬鹿やろう。その冗談に頬を赤くする乙女がいるんだからまじで止めろよ。私泣くからな。苦笑するおっさんが回りの女子共を見て、はぁ〜、と嘆声を漏らす。え?あんたなんか知ってんの?
「女の子は怖いわぁ〜…。お嬢ちゃんも大変やな」
「おっさん、説明しろ。今すぐ説明しろ」
「どこまでも口が悪いなぁ…。まぁええけど」
で、私はトウコとトウヤのバトルを生中継していた事を知らされた。なんでそんな事したんだと聞けばデモンストレーション?的な?と言われイラっとしたが、我慢した。で、その私無双な映像が女子共となんの関係があるわけ……ハッ!で、でこちゅー…!
「クダリさんに…でこちゅーされたからか…!?そうなんだな!?」
「それもやけど、もう一個どでかい事があんねん」
「なに?なに!?」
「…黒ボスがお嬢ちゃんを好きやって言うたんや。あっはっは!黒ボス顔真っ赤でおもろかったわー」
おい。おいおい。全然笑えねぇよ。はい、どう考えても死亡フラグです。どうもありがとうございました。……まじかよ!!!
「ノボリ…。カオルに何かした?」
「クダリには関係ないでしょう」
「…カオルを傷つけたら、僕許さないから」
「愛する人を傷つけるはずございません。クダリはお馬鹿さんですね」
「(カオルちゃぁぁあん!助けてぇぇえ!)」
-------- カズマサ可哀想\(^O^)/←
|