ラスボス的な台詞を言い放った私を二人はポカンとした表情で見てくるんですけど。なんでや?ついでに二人の背後にはてなマークが見えるんだが。だからなんでや?ほれほれ、バトルするんだろうが。さっさと君達のポケモン出しなさいよ。

「カオルさん、ランクルスだけ…?もう一体出さないんですか?」

「は?私とランクルスで戦うよ。そっちが一体ずつ出せば数は揃うだろ?二対二のタッグバトル」

「ちょ、ちょっと待って下さい!もしかして…カオルさんがポケモンと戦うんですか!?」

「え、君達私と戦いたかったんでしょうが」

なにこれ。なんか話が噛み合わないぞ。…おっさん、なに視線を逸らしてやがる。さてはちゃんと説明してなかったんだな。多分、おっさんのいう「うちのカオルは強いんやで!」をポケモンバトルが強い的な意味として捉えたんだろうな、この二人は。残念。リアルファイトなんやで。

…まぁ、勘違いしてたとはいえもう我々はやる気満々なわけで。バトりたいわけで。でもこいつらは未だに戸惑ってるわけで。チッ…面倒臭いな。

「ランクルス、私に向けてサイキネ。あとなんか適当に攻撃して」

「え!?あ、危ないです…!」

「カオルさん…!!」

そんな泣きそうな顔すんなよ!大丈夫大丈夫!私の指示に頷いたランクルスはサイコキネシス、サイコショック、めざめるパワー、シャドーボール、かみなりパンチ、破壊光線と馬鹿みたいに強力な技を私に向け繰り出した。近距離でこの全てを受けて無傷なのは世界広しと言えど私くらいなものだろう。あ、世界ひろしっていう人名じゃないからな。勘違いすんなよ。

しかしランクルスよ…。お前、色んな技覚えてんだな。破壊光線にはちょいビビったわ。ま、余裕だがな!なははは!うぉ、もしかして帯電した?バチバチ言うてるわ。わお、見事に二人は呆然としているではないか。おっさんは人間やないな〜、と失礼な事を言っている。いつか殴るからな。……さて、という訳だ。

「この通り。私にはポケモンの技は効かんので安心しろ。さぁ、早くやろうぜ!」

日頃のストレスを発散させてくれ。ニッと笑いかければ、二人は互いの顔を見合い頷いた。腰のボールを手に取り宙に投げる。赤い光に包まれて、中からポケモンが飛びだす。見た目はデカいヘビだが、西洋貴族のような気品さ高貴さが漂っている。黄色の唐草模様に、襟のようなヒレ、鋭く冷たい目で私を見下ろすヤツは…ジャローダ。女王様みたいですね、はい。

そしてもう一匹。海獣や。海獣がおるで。ラッコから進化したとは思えないその姿に初見の人々が「誰だお前」となった事だろう。私もその一人だ。オットセイを思わせる体型に、立派な白ひげ、足には装甲がついている。頭部に法螺貝のような兜を装備したそいつは…いえす。ダイケンキである。ほほぅ…御三家ですか。…御三家?あー!!今気づいた!お、お前ら主人公じゃん!通りで見たことあるわけだよ…あぁすっきりした。

「お互いきばりや!ほんなら、バトル開始やで〜」

なんとも抜けたバトルの開始合図である。行くぞ、とランクルスに視線を向け、地を蹴って突撃する。このバトルが今後の私を左右する事になるとはさっぱり思ってもいなかった。



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