なんとかマスタークダリさんがたらたらと汗を流す姿を見て頭が痛くなってきた。あたたた!クダリさんのばかやろー!!どうするんだよ…まじで。…かげぶんしんをしたのだろうか、めっちゃレパルダスが増えてる。マイガッ!!詰んだかもしれない!!

…いや、詰んでない。一つだけ奴を倒せる方法を発見してしまった。しかし失敗したら大惨事になるが…ええい!女は度胸、やってやるわ!骨組みだけとなった傘を握り、レパルダスの前に立つ。プラ男Aを睨みつけ声を張り上げる。


「避けてばかりじゃないで攻撃してこい!お前は男じゃないのか!?」

「なっ…貴様…!!レパルダス、あの生意気な女に辻斬りだ!」

「カオル!何挑発してんの!シビルドン、行って!」

「いや、シビルドンさんは待機でお願いします!」

「カオルーー!!」

うっさい!これでも考えて行動してんだ!貴方はいい加減汗を拭いなさい!シビルドンさんは私の考えを理解してくれているのかその場でじっとしている。ありがとう、シビルドンさん。ちょっと待っててね!!

直後、レパルダスの辻斬りに襲われビリッと服が破れる音がしたが痛みはない。よっしゃ!レパルダスの両肩を掴んで、遠心力を使いその背中に飛び乗った。ポカンとした表情を浮かべるプラ男A、プラ男B、クダリさん。そして振り落とそうと暴れるレパルダス。なんだこのカオスな状況は。うおっ…!こりゃ早くしないと落ちる…!!ごめんね、レパルダス…私重いけど頑張ってくれ!!落ちないようにしっかりレパルダスを片手で掴み、 もう片方で傘を天に向ける。さて、準備はおっけー!

パチパチという音がした。視線を向ければシビルドンさんが電気を纏って私を見つめていた。…ありがとうシビルドンさん。あれだな、なんつうか…オラ、ワクワクすっぞ!って感じ!!あ…クダリさんが私の考えに気付いたっぽい。真っ青な顔してシビルドンさんに駄目だって叫んでる。大丈夫!私頑丈だから!…さぁ、いっちょやったろうぜ!!

「ほうでんお願いしまーす!!」

「シビルドン、やめて!カオル駄目!!」


クダリさんの制止の言葉を聞かず、シビルドンさんは溜め込んだ電気を一気に放出した。その瞬間、雷鳴の音が物凄い近くで響き、目の前が真っ白になった。あぁ、びっくりしたー。でも生きてる生きてる!!…気付くとレパルダスは倒れていた。あ、パソコン的な物の被害は…無いな。傘が避雷針の役目を果たしてくれた様で安心した。ごめんね、とレパルダスを撫でてガクガク震えるプラ男A、Bに傘を向ける。

「貴様等に此処は渡さん!!…さっさと帰れ」

「な、なんだよ…。こんなのがいるって聞いてないぞ…!?」

「人間じゃない…!に、逃げるぞ!!」

なんとも失礼な言葉を吐いてプラ男達はすたこらさっさと逃げていった。…疲れた、本気で疲れた。その場に座り込み、そういや破れたっけ?と服を見ると胸からお腹にかけてバッサリ切れていた。…ぷ、プラ男達に見られた!?いや…奴らとはもう出会うまい…しかし、代えの服とか無いのに…。悩む私の両肩にずしりとした重みが…なんだ?と見れば白いコートと手…。ん?手?その手の主はまぁクダリさんだったんだけど、凄く泣きそうな顔をしていて私はびっくりした。ニンマリ笑顔じゃないや。

「クダリさん?」

「僕の制服、貸してあげる。服破れちゃったから」

「…どうも。ど、どうしたんですか?」


なんか泣きそうですよ、と言っても無言。あれ?クダリさんもスルースキル発動させちゃってます?もしや私うざったい?そりゃすみません。などとふざけた事を考える私にクダリさんはただ一言、「ごめん」と呟いた。はぁ?なんで私は謝られてるんだYO!クダリさん何も悪いことしてないじゃん。変なの。

「クダリさん、なんで謝るんです?」

「…僕が守らなきゃいけなかったのに、守ってもらっちゃった」

「そいつはおかしい…。貴方はちゃんと守りましたよ」

この(廃人が集う)バトルサブウェイをね、と口角を上げて言えばクダリさんは目をパチクリさせて顔を伏せた。おやまぁ、泣いてるんですか?残念ながら私ハンカチ持ってないよ?クシャクシャのポケットティッシュならあるけど。ごそごそポケットを探る私の耳にまたもやクダリさんの呟きが聞こえた。


「ありがとう、カオル」

「…どう致しまして?」

顔を上げたクダリさんは先程と同じニンマリ笑顔。ん、良かった良かった。とりあえず、制服は有り難く借りておくとして…これからどうすんだ?とクダリさんの顔を見れば何故か青い顔をしていた。さっき笑顔になったじゃん、どうしたよ。と、クダリさんの視線を辿ってしまった私は後悔した。見なけりゃ良かった。まぁ何故私がこんなに後悔しているかと言うと目をカッと見開いて突っ立ているノボリさんがいたからである。こ、これは…確実に怒っているご様子…!!



「クダリ…これはどういう事ですか?」

「えっと…色々あって…ね!カオル?」

「そうそう!ノボリさんちょっと落ち着こう!」

「わたくしはいつでも落ち着いております!」

「(嘘だー!!)」





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