〜ノボリside〜

わたくしが何故彼女について行ったのか?答えは簡単、彼女があまりにも不審だったから。確かにお客様であれば、わたくしがお守りしなければなりません。そう"お客様"であれば。

しかし、彼女はポケモンをお持ちでないと仰いました。では何故…シングルトレインに乗車出来たのか。まずトレーナーでなければ乗車をお断りしているはずでございます。…では何故。

わたくしの中で一つの可能性が浮かび上がりました。そう、"プラズマ団"でございます。彼女はもしかしたらプラズマ団なのではないか…。そうだとしたらわたくし、許せません。…ですが今は他のお客様、スタッフの様子が気になります。…仕方ありません。


「どこ行くんですか?」

「…様子を見て参ります。他のお客様の安否も気になりますので。カオル様には大変申し訳ないのですが…」

「ここにいろって事ですよね?りょーかいです!」

ここに残って下さいますか?という言葉は彼女により遮られてしまいました。今までずっと無表情に近かった彼女(叫んだりしておりましたがやはり無表情でございましたので)が、微笑みながら敬礼した姿に一瞬動けなくなりましたが、すぐにわたくしも敬礼を返し、その場を後にしました。

何故動けなくなったのか…走りながら考えてみましたが、分かりませんでした。ただ、彼女の…カオル様の笑顔はとても可愛らしいと感じたのは確かでございます。



******



そしてその彼女がバンギラスの攻撃を避けている様を見た時はわたくし…気絶するかと思いました。わたくしの言うとおり、何故あの場所にいてくれなかったのか…。しかし今は気絶をしている場合ではございません!彼女を守らねば…彼女はポケモンをお持ちでないのですから。モンスターボールを手にした瞬間、バンギラスが巨大な岩を彼女にぶつけたのです。
カオル様が、死んでしまった。あまりの衝撃に足が止まり、立ち尽くすわたくしとクダリはとてつもない光景を目の当たりにしたのです。カオル様が傘で…傘というのは本来雨の時に頭上に広げて使う物でございましょう?その傘で!バンギラスの攻撃を打ち返したのでございます!

岩が直撃したバンギラスはその場に崩れ落ち、戦闘不能の様子。彼女は口角を上げて笑みを浮かべて座り込んでしまいました。何処か怪我をされた…!?急ぎ駆けつけなければ…!

「あ、ノボリ…!待ってよー!」

クダリは未だに先程の光景に圧倒されていたのでしょう。一瞬反応が遅れておりました。そして…やっと彼女の元に辿り着いたのです。ですが、何故か怯えていらっしゃる様子…い、一体何故でございますか!?



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