鋭い葉の嵐に襲われた私は驚いた。これ、特攻下がってねぇだろ。威力がさっきのものと桁違いだ。…うおぅ!服が破れとるやないか!え、でもさっきもリーフストームしたぜ?なら下がるはず……まさか!トウコを見れば得意気な笑みを浮かべて、気づきました?と挑戦的な事を口にした。

「あたしのジャローダの特性は、あまのじゃくなんです!」

「まじかよ…。超レアじゃん…」

あまのじゃくジャローダとか…なにそれ酷い。そりゃリーフストーム撃ちまくれば強くなるはずですよ。わからん人はググってくれ。先にダイケンキを倒そうかと思ったが…作戦変更だ。先にジャローダだな。ランクルスに大丈夫か?と声をかけるが力無く頷くだけ。大丈夫じゃないな…。
けど…もうちょい頑張ってくれ。ソッと頭を撫でれば嬉しそうに笑うランクルスの笑顔に胸が痛くなった。私のど忘れのせいで…ごめんな。ランクルスを抱え、ジャローダを見やる。…うちのランクルスもな、特攻高いんだからな。

「ランクルス行くぞ!」

「させません!ハイドロポンプ!」

「ハッ!そんなもんじゃ私は倒せんぜ、坊ちゃん!」

ドロポンを避けて、一気にジャローダとの間合いを詰める。あいつは素早いからな、すぐに終わらせてやるわ!渾身の頭突きを食らわせ、フラつくジャローダ。よっしゃ、ランクルス。お前の力を見せてやれ…!

「サイコキネシス!」

直後、空間が歪むようなそんな感覚に驚いた。え?私が受けてきたサイキネとなんか違くね?ジャローダを見ると苦しげに顔を歪ませて身体をよじらせていたが、パキッと音がしたと思うと静かにジャローダは倒れた。…お、おぉ…目を回している。ということは…。

「ジャローダ、戦闘不能や!」

「ジャローダありがとう、戻って!」

っしゃ!やったぜ!ランクルス…さてはお前、瞑想してたな?ヤンデレじゃないときは良い子だな、お前は。よしよしと撫でてやり後は休んでろ、と安全そうな場所へランクルスを降ろす。…さぁて、後は君達だけだな。トウヤとダイケンキに視線をやり笑みを浮かべ、チョイチョイと手招きをする。

「…おいで?」

勿論挑発である。最後はね、綺麗に決めてやろうと思っている。それには相手の力も利用しないといけないので、ちょーっとだけ挑発してみた。見事引っかかってくれたトウヤはダイケンキにシェルブレードを指示した。またもやダイケンキは装甲に隠されたアシガタナを振りかざす。…待ってました!
手の甲でそれを受け止め、ダイケンキの前足を掴んだ私は前回りする勢いで腕を引いた。知ってた?ダイケンキってアシガタナ使うときは二足歩行するんだぜ?まさに背負い投げにはぴったりってワケだ!ぐぐっと腹筋と脚に力を入れる。

「よいしょーっと!!」

物凄い音がして見事ダイケンキは床に叩きつけられた。…ふー、疲れた。腰が痛い痛い。トウヤのダイケンキー!と叫ぶ声が響く。いえす。ダイケンキ、戦闘不能ですわ。

「ダイケンキ、戦闘不能!ちゅーわけで、お嬢ちゃんとランクルスの勝利や!」

ま、当然の結果ですよね。…ちょ、君達…そんなにしょげるなよ。しょうがないしょうがない。私には攻撃効かないからさ!無敵過ぎて怖いわ〜。…っと、ランクルス!ふわふわと飛んできたランクルスが私にぎゅっと抱きついてくる。うむ、大事ないから安心しろよ。むしろ私はお前が心配だ。
…まだしょんぼりしてるわ。チッ…。ポケットに手を突っ込み飴玉を二つ取り出した私は二人に差し出す。

「バトルすっげぇ楽しかった。またやろう?」

「…はい!今度は絶対僕達が勝ってみせます!」

「無理だな。次も私の勝ちだからな」

「カオルさんに勝てるよう修行しますもん!」

そうかそうか。頑張りんしゃい。まぁ、なにやっても私が勝つけどな!なはははは!…?どうしたランクルス?なんで急に無表情に…。ポン、と肩を叩かれた私は瞬時に悟った。あ、こりゃヤバいと。後ろに鬼がいると。…よし、スルースキル、発動。


「いや〜、本日も晴天ですなぁ」

「あの、カオルさん。ノボリさんが…」

「晴天ですなぁ!!」

「無視しないで下さいまし!」

「…チッ!」


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