「すきなんだ」

「……あ?」

「僕はカオルがすき。カオルの事が知りたい。もっと話をしたい。ずっと側にいて…触れていたい」

な、は?ちょ、まて。追いつかない追いつかない。私の頭のデータ処理が追いつかないですよ〜。え?じゃあ今までのセクハラ的行為は…わ、私が好きだったから?呆気に取られて抵抗するのも忘れてたわ。未だにポカンとする私の両肩を掴み少し距離を取ったクダリさんの表情は、凄く真剣で思わず身体が強張る。そんな私を安心させる為だろうか、少しクダリさんが微笑んだ。

「…ちゃんとカオルと話がしたかったから、ノボリに交代してもらったんだ」

「そ、そう…。わ、私がビッチだと思ってた訳じゃ…ないの?」

「ち、違うよ!カオル、なに言ってるの!?僕はカオルがすきなだけ!」

その言葉にまた私は固まった。クダリさんの口から紡ぎ出された言葉の様に、甘ったるい台詞を私は今まで沢山聞いた事がある。勿論乙女ゲーでな。しかし乙女ゲーで聞いたものと全然違う。あれ?私いつも悶えてたよね?床をバンバン叩いてたよね?なんで今はこんなに恥ずかしいのー!?やっぱり二次元と現実は、別物だった。めちゃくちゃあつい。特に顔が。


「いっぱいアプローチしても、カオル、全然気がつかないんだもん。だから、キスしてやれ!って思ったんだ!」

「ば、ばかだろ!その発想は完全にアウトやで!」


混乱し過ぎて敬語すら使えてない私ワロタ。やめて!カオルのライフはもうゼロよ!というかそろそろチラーミィが飛んできても良いんじゃないの?いつもそんなパターンじゃん。なんで今日は来ないの!?空気読んじゃった?読むな読むな。今までのお前でいろよ。…おふ、まさかこんな…いやもしかしたら夢かもしれん。思い切り頬を抓ったが、ただ痛いだけだった。てか抓りすぎた。泣きそう。…くそ!なに笑ってんだ!…あぁ、えーと。返事…しないとだよな。…申し訳ないが…。

「…私、クダリさんの事好きですけど、貴方の好きとは違います」

「…うん。そうだと思った」


そう言うと苦笑するクダリさん。私より素敵な人が現れるさ。だって君は、イケメンだから!てなわけで離れろ。よしよし、いつもの私が戻ってきた…って、早く離れろってば。不審に思いクダリさんを見上げると、ニンマリといつもの笑顔を浮かべて、私の額に唇を寄せた。所謂デコチューだ。…デコチュー!?


「僕、諦めない!ぜーったい、すきになってもらう!だから……覚悟して?」


低いトーンで囁かれて、ぞくりと背中が粟立つ。…な、なんだこれー!?ど、どうやら覚悟しないといけないみたいだ。私の今後は一体どうなるというのですか…!神様教えてよ!好き放題喋って満足したのかクダリさんは、おやすみ、と告げると部屋へと戻っていった。その後ろ姿を呆然と見詰めて頭を抱える私なのだった。





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