まだまだ寒さが続いている今日この頃。リビングのソファに座る私は膝にチラーミィ、左にゾロアーク、右にランクルスというなんともカオスなことになっている。まぁあれだ。みんな寒いんだろうね。…お前ら先に寝てな?私はまだ仕事があるからさ。そっと撫でてやれば三匹は少し拗ねたような表情になったが、のそのそと私の部屋へと向かっていった。それを見送りまた私はソファへ腰掛け時計に視線を向ける。…もう一時か。

「外は寒いよなぁ…」

早く帰ってきやがれってんだ。テレビをつけてもつまらない通販番組ばっかり。なんだこれは。私に痩せろと言っているのか?そうなのか?かち割るぞこの野郎。早口に商品の紹介をする男に苛々してきた時だ。玄関から物音がした。ようやっと帰ってきたか。ぶちっとテレビの電源を切り私はキッチンへと向かう。……寒いし、ちょっとラム酒入れてみよう。ミルクを温める私の背後で、私の名前を呼ぶ彼の声がした。

「おかえり、ノボリさん」

「ただいま…でございます。こんな時間に何か作っていらっしゃるのですか?」

ひょいと鍋を覗いたノボリさんが「それは!!」と喜びと驚きが混じった声を上げる。ふふふ…貴殿の好きなホットミルクでございますよ。ノボリさんの目の前でたっぷりメープルシロップを入れるとなんともまぁ目を輝かせていらっしゃるではないか。とりあえずあなたは着替えておいで。

*****

リビングに戻ってきたノボリさんにマグカップを差し出す。頬を赤く染め嬉しそうにする彼はそれを受け取り、ありがとうございます、と呟く。本当、この人乙女のときは可愛いよな、乙女のときはね。そんなことを考えながら自分のマグカップに口をつける。ふむ、美味しい。ラム酒の香りでいつもよりホッとする。…安眠効果抜群やな。既にノボリさんのお目めが眠たそうにとろんとしてるわ。

「ノボリさん、ねますか?」

「…いえ、もう少し起きています」

あんたの限界はもう来てんで。今日はさっさと寝た方が良いと思うよ。それ飲んだら寝なさいな、と言えばすっげー不満そうな顔されたんだが。あのね、私はあんたの事を考えた上で言ってるのであってだね…。苦笑しながら彼の隣に腰かければ、私の肩にこてんと頭を乗せたではありませんか。…やっぱりあんた眠いんだろ。

「…今だけなのです」

「何が?」

「わたくしが、貴女を独占出来るのは、今だけなのです」

こ、この野郎…。油断してるときになんてこと言いやがるよ。思わずガン見する私である。そっと私から離れたノボリさんがふんわりとした笑みを零す。これは…あの、なんともヒロインらしい笑顔ですね。きっとイベントスチル的なものですね。私の好感度が跳ね上がるのが分かる。あれ?私が攻略されてる?攻略対象私?まじで?

「……じゃあ、もう少しお話でもしますか?」

「…ありがとうございます」

他愛もない会話をしながら私たちの夜は更けていく。で、気がついたら私は寝てしまってたんだよね。うん、ソファで。うん、ノボリさんに抱きつかれながら。……も、もうちょっとこのままでいたいと思う私を、笑うか?









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