こう寒いとなぁ…炬燵が欲しいよなぁ。そう願った次の日の朝、部屋に突然出現した炬燵に私は奇声を上げることとなる。なんだこれ。え、ノボリさんかクダリさんが買ってきたの?…ん?手紙が落ちてる。ピンク色の封筒に、これまたピンク色のハートのシールで封がされている。え、ラブレター?いらないんですけど。渋い顔で裏返すと「かみさまより」と可愛らしい文字が…。か、神様ー!?

急いで封をきれば「いつも頑張るきみにプレゼントー!」とだけ書かれていた。…な、なにー!?これ神様が私にくれたってこと!?…そ、そか…最近存在を忘れかけてたけど、ありがとう!神様ー!…てなわけで、炬燵をリビングに運び、カチッとスイッチを入れる。暫く待つと炬燵が暖まってくる。…あぁ、炬燵って素晴らしい…!炬燵の魔力に抗える人っている?いないよね。

「幸せすぎる…」

「…おはよー。…ん?なにそれ?」

リビングのドアが開いたと思うと、クダリさんが眠たそうに目をこすっている。なにそれって…炬燵知らないのかしら。こてんと可愛らしく首を傾げるクダリさんに多少苛つきながらちょいちょいと手招きすれば、のそのそとクダリさんが近寄ってくる。寒いから開けたくないけど…炬燵を開けて、足を入れてみろと促す。

「えぇぇ…!?なにこれ、あったかーい!」

「はっはっは。暖かいだろ〜…。これは炬燵といって…寒い冬の強い味方なんです…」

あらあら、クダリさん寝癖がついてますよ。あとで鏡見て下さいね。え?私が言えよって?面倒なんでね。もう今は…ただ眠い。どうやらそれはクダリさんも同じなようで、ぽやぽやした笑みを浮かべながら炬燵に顎を乗せている。うむ…イッシュ人も炬燵の魔力には勝てなかったみたいだ。いや、炬燵ってまじ素晴らしいわ。

「…えへへ〜、幸せだな〜」

「うん…しあわせ〜…」

…そういえば、誰かと炬燵に入るのって凄い久し振りかも。ずーっと一人だったもんなぁ…。ぼんやり考えていると、急に寒くなった。視線を向けると立ち上がったクダリさんが私の隣に座った。…んん?どうした?不思議に思う私に少し頬を赤くしたクダリさん。

「もっと幸せになりたいなぁ、って…」

その言葉に面食らった。だがそれ以上に…私は嬉しいと感じたのだ。ふふ…この私がクダリさんにときめくとはな…。ふと思い立って、炬燵の中のクダリさんの手に触れてみる。驚いたのか彼はビクッと身体を揺らす。…なんだよ、たまには…私だって甘えても良いだろうが。さむいから…、と小さく零せば一瞬目を見開いたクダリさんだが、すぐに嬉しそうにふにゃりと笑い、私の手に指を絡め、ぎゅっと握る。

「あったかい…?」

「…あったかいっす」

そのまま炬燵で微睡む私とクダリさんであった。…ちなみに、今日は二人して仕事を遅刻して、ノボリさんにめっちゃ怒られたんだぜ…へへへ!!

…まぁ、あれだな…。炬燵もいいけど、人のぬくもりも…いいもんだよね。






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