‡クロワッサンジャン!‡


ごつんっ!




ぶつかった


「うげげ」


声を出してる
声の人がスクッと立ち上がった

ひょろひょろ細長い
自分の肩ぐらいの背
ボロボロ黒マント
真っ赤なえりまき
ぼふぼふズボン
真っ黒ピカピカ長靴
頭が



クロワッサンだ!

美味しそうな頭の真ん中に目が1つ
シールのようについている

「おぅ、ぼうず!こんな所で何やってる?」

長い手1本こっちに向けて言ってきた

たくさん喋りたい
言葉が難しい

困った 困った



「やける!」

大きな声でたくさん分叫んだ

「お、奇遇だな。俺も焼けるとこだった」

同じだった
嬉しくて 嬉しくて
クロワッサンの手をとり
ぐるぐる 回った

「踊るのは外に出てからにしようぜ。カリカリになっちまう」

友達になりたい!

「な、まえ!」

うきうきスキップしながら言った

「カリカリになっちまう」

カリカリは自分の手を引っ張りながら
少し速く 歩いた



ずっと歩くと トンネルを出た

真っ青な空
ひんやり空気
涼しくてさわやか

カリカリがほっとした顔をしている

「ぼうず、名前を聞きたがってたな。俺はジャンって言うんだ。ジャンだぞ、ジャン」

シールのような目が細くなったり丸くなったり
忙しい
「カリカリ ジャン?」

「カリカリ?!どこだ、後ろかっ!!」

ぶんぶん頭を振ってる
取れそう
でも今は取れても困る
ジャムが無い


「…で?ぼうず、名前は?」


何ジャムがいいだろう

いちご ブドウ オレンジ りんご …

迷った

「ん?は?へ? … …… …ぼうずでいいわ。うん、悪くない。重そうで強そうだ。決定!」

そう言えば旅人さんが甘酸っぱい涙を流す木の話しをしていた


そこに行こう


「よろ、しく。カリカリ ジャン!」

「あ?カリカリ?!どこだ?!斜めかっっ!!」


風がそよそよ





美味しいクロワッサンの匂いだ


- 2 -


[] | [*]




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -