序章(1/2)

トリカブトが社長をしている会社に社長秘書として勤めるトラツグミ。


トラツグミはずっと前からトリカブトが好きだった。
その片想いもようやく結ばれ、トラツグミはトリカブトと恋仲になった。

トラツグミにとっては毎日が幸せで、仕事の落ち着いた日はトリカブトと何度も身体を重ねた。

「好きです…っ!
私っ…もう貴方無しでは…っ…!!」

トラツグミは幸せを噛み締めていた。



同僚のカムイはトラツグミのことが密かに好きだった。
しかし、トラツグミの想いを知っていた為、自分の想いを殺して過ごしていた。


月日は経ち、カムイは遂に自分の気持ちを押さえきれなくなった。

ある日の月曜、トラツグミとカムイは残業で残っていた。
トリカブトは他社と会食。
アビサメも珍しく風邪をひいて休んでいた。


「珍しいな、お前も残ってるなんて。
今日は飲み会じゃないのか?」

何気無くトラツグミがカムイに言葉をかけた。
相も変わらずのキツい口調。

「あははっ、ちょっと終わらせたいもんがあってね」

「ふうん…」

カムイを見ず、デスクのパソコンから目を動かさないトラツグミの背後をとるのはいとも容易かった。


刹那、見ていたパソコンのデスクトップが消え、目に写ったのは天井の蛍光灯。

私…椅子から落ちたのか…?

そう認識するのに暫くかかった

頭がじんじん痛い。
やっぱり私は椅子から転げ落ちたらしい。


何故?

考えてる最中、突然視界に入ってきたカムイに唇を塞がれた。

キス、だと気付いた頃には唇を割ってカムイの舌が口内に入り込んでいた。


「ン"ン"ッ!!」

抵抗しようと頭を振るがさっき打ったせいか、頭がぐわんぐわんと痛み上手くいかない。

その間にもカムイの左手で両手を上で押さえつけられ、右手でスーツとワイシャツのボタンが外されていた。


やだ……怖い……!!!


初め感じるような恐怖に身がすくんだ。


外されたワイシャツの隙間から手が入り込み、トラツグミの乳首にやんわり触れた。

「ふあっっ!!!」

思わず出た声。

唇は相変わらず舌で犯され、同時に乳首を攻められた。

相手こそ違え、トリカブトとの行為が自然と脳裏を掠め、覚えたての快感がどっとトラツグミを襲った。


乳首の先を指でピンと弾かれるだけで熱い吐息と声が出てしまう。

唇がようやく開放された。
つぅと伸びる唾液の糸が行為を物語る。


「かむっ…!!貴様っ…なんのつもりだ!!!
退け!!離れろ!!!」


口が開放され、言葉を吐けるようになったが上がった息はなかなか戻らない。


「私を貴様の汚ねェ精液の捌け口にする気か!!
そんなにヤリたきゃ…」

「違う!!!
トラさん…俺様、アンタのことが好きなんだ!!」


突然の告白にトラツグミの頭は真っ白になった。

すぐに返答できないでいるとカムイが口を開いた。


「トラさんが旦那と付き合う前からずっとずっと好きだった!!!
でもトラさんが旦那のことずっとずっと好きだったの知ってた。だから俺様は何度も諦めようと思ったんだ!

だけどやっぱり諦められなくて…でもトラさんを傷付けるのも嫌だった…でも駄目だって思えば思うほど気持ちが溢れてきて……俺様もうどうしたらいいか分かんなくて…」


だから御免…


カムイの声がうっすらそう言ってるようで。




ズブンッ!!!

カムイの陰茎が慣らされてない肛門へ一気に入り込んだ。


「あ"あ"あ"あ"っ!!!」

痛覚で感じた激痛が全身を駆け回る。
流血したのが分かった。


待ったなしで始まるピストン運動に嫌でも声が押し出された。

強く奥を何度も何度も突かれ、大きなカリ首に掻き回され、痛みと共に鈍い快感が襲ってきた。


萎えていたトラツグミの陰茎も海綿体が充血し、反れ上がる。

「やめっ…ばかっ……ぁっ…ぁっ…ンンッ!!!」


口で弱々しく抵抗するが自分でも効き目が無いことくらい分かっていた。


カムイの陰茎で突かれる前立腺から来る快楽にいつの間にか痛みすら快楽に変わっていた。

カムイの鈴口から出るカウパーによって粘着質ある音が響く。
強くピストンする度、カムイの下半身はトラツグミの尻に強く打ち付けられる。
ちくりちくりとカムイの陰毛が掠んで変に意識してしまう。



「しゃちょ…っ…しゃちょ…ぉ……っ」


知らないうちに目から大粒の涙が溢れ落ち、口は愛する人を呼んでいた。


「御免……トラさん…」


耳に届いた懺悔の言葉。
その言葉に目を見開いた時、直腸へ大量の熱い液体が流れ込んできた。


それに同調してか、トラツグミの鈴口からも白濁した液体が少量外へ吐き出された。



「御免トラさん…御免……」

行為が終わった後もカムイは壊れたようにそれだけを言い続けた。

カムイはトラツグミに怒鳴られたり、ひっぱたかれたりするのを覚悟の上だった。

ところがトラツグミは衣服を素早く整え、鞄に書類を乱暴に詰めて逃げるように会社を出ていった。
ただ俯いたまま涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら。



「はは…終わっちゃった……」

ひとり残されたカムイは空虚の笑いを漏らした。


「好きっていって…一発ヤったら収まると思ってたのにな……
…なんか……かっこわりーな……俺様」


暫く蛍光灯を見つめてから、重い体を引き摺るようにして会社を後にした。






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