私はいわゆるいじめられっ子と言う奴です。

きっかけは私がたまたま持ち歩いていたカッターでした。家から勝手に持ち出した青いカッターです。
部活で使おうと思って胸ポケットに入れたままのカッターが、偶然名も知らぬクラスメートの手の上に落ちました。
その日から私は殺人鬼もどきのカッターちゃんになりました。理不尽です。

やはり私をいじめるのも女の子ですので陰湿です。
校舎の四階から私の荷物をぶちまけた上に土に散らばるそれらを拾う私を蹴りました。殴りました。痛かった。

そうやって最後に正面から蹴りを食らった私がぼうっとしていると男子が通りました。
茶色がかったさらさらの髪の、王子様みたいな少年でした。ぼろぼろだったけど。
彼は腕を押さえ足を引きずりながら歩いていました。可哀想に。
私の記憶が間違っていなければ、彼は黴菌くんです。なんでそう呼ばれてるか知らないけどそうらしい。

ふと、黴菌くんは私の方を見ました。恥ずかしい。改めて見てもかっこいい。
気付いたら私は舞い上がって彼に指を差し、黴菌くん、と言っていました。

あらやだ、失礼だったかな。


モドル


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テーマ「人外ファンタジー」
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