さん、にい、いち。 あいきゃんふらーい。 ぴょんっ。 ひゅーん。 ぐちゃっ。 重い何かが潰れる音がして、私は死ぬの。 真っ赤な血とかを撒き散らして、顔もぐちゃぐちゃになって。 「おーい、柴田」 誰だか分からないくらいに崩れて死にたい。 「柴田ー」 丁度、あの子みたいに。 「柴田!」 「はひっ」 前を見ると先生が呆れ顔でこっちを見ている。 ああ、またやっちゃった。 今は授業中だったんだ。 「しっかりしろよー」 「……はい」 教室のあちこちから笑い声がした。 陰湿でべたべたしてる。 悪意が熱気みたいに部屋を包む。 やっぱり駄目だなあ、私。 想像するだけじゃ死ねないのにね。 死ぬだけじゃ駄目なのにね。 あーあ、すごいなあ。 隣のクラスのあの子はそんな勇気があったんだなあ。 私にもそんな勇気があったら、こんな場所にはいないのに。 「いたっ」 ほら、今日も机の中に画鋲が入ってる。 それに、今も消しゴムのかすとか投げつけられてるし。 そういえば、ノートも破かれてたんだっけ。 俗に言ういじめってやつ? 気にしてはないけどね、死にたくはなるよ。 そんな時、目を閉じるとあの子が川の向こうにいる。 話したことなんて一回も無いけど、幸せそうにこっちに手を振ってるんだ。 待っててよ、多分もうすぐ行くから。 さあ、後は予行演習。 さん、にい、いち。 あいきゃんふらーい。 ぴょんっ。 ひゅーん。 ぐちゃっ。 で、さようなら。 ← |