さようなら///鬱

拝啓、天国の××へ。
死んだ人間に元気も何もないけど、そっちはどうですか。
こっちはお前の葬式から二ヶ月経ったから、学校もようやく静かになったみたいです。
お前が死んだ後、お前をいじめた奴らは、正義感溢れる奴らにいじめられてたらしい。遺書を遺しておいたのは良かったと思う。
最近だと他校の奴らにも指差されるらしい。でもあいつら、多分反省とかしてないと思う。

俺はお前に謝らなきゃいけないことがある。
お前が俺にいじめられてるって相談してきた時、俺は正直どうでもいいと思ったし、仕方ないことだと思った。
だってお前は可愛くないし、スタイルだって良くない。成績は普通だし、部活で活躍してる訳でもなかった。
猫背だし、スカート長いし、すぐ顔が赤くなるのもみっともなかったよ。だから俺は、お前と話してることが友達にばれたら嫌だなってことだけ考えてた。
それで俺はお前に、我慢しろって言ったよな。しばらくすれば相手も飽きるだろ、って言った。お前も分かった、って言って笑ってた。
でもそれって間違いだったんだよな。
お前が何も言わないでいたら、あいつら調子に乗るの分かってたよ。でも抵抗したってどうにもならないのも分かってた。
教師は何もしなかったし、周りの奴らだって見ないふりしてた。
でもお前がまだ笑ってたから、俺はまだ全然大丈夫だと思ったんだよ。話せる友達だっているみたいだったし、本当のこと言うと俺、なるべく関わりたくなかったんだ。
でもさ、流石にお前の制服破かれた時は俺もやばいなって思った。だから、一応お前の担任に言ったよ。だけど、あいつ全然話聞いてくれなかった。
お前に何か関係あるのかよ、とか、××は何も言ってこない、とかぶつぶつ言ってた。俺はもう諦めたよ。大人なんてクソだなって思った。自分のこと棚に上げて、馬鹿みたいだな。
俺はお前にちょっと罪悪感感じてたから、よく大丈夫かって、聞いたよな。お前は毎回笑って大丈夫って言ってたけど、本当は大丈夫じゃないの知ってた。
でも我慢しろって言っちゃったから、俺はもう何も出来なかった。
許してくれなくていい。ごめん。本当にごめん。
もうお前はいないから、俺は謝ることしか出来ない。
情けないよな。俺、こんなことになるなんて思ってなかった。
意外と辛いんだ。お前のこと鬱陶しいと思ってたけど、いないとやっぱり寂しい。
もう会えないの分かってるよ。だから俺、お前の葬式で泣いた。お前の顔は見せて貰えなかったけどな。
何年振りだったんだろう。人前で泣いたの、本当に久しぶりだったよ。
俺は馬鹿だったよな。自分のことだけ考えてさ。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ俺が大人だったらお前は死なずに済んだのかもしれない。
××、お前は本当に優しい奴だよな。
わざわざ遺書に俺のこと書いて。俺何もしてないのに、お前のこと助けられなかったのに、何でそんなこと書いてるんだよ。
俺、お前が思ってるような人間じゃないよ。優しくないよ。だって、俺は見て見ぬ振りしたんだよ。

お前のせいじゃないけど、俺、あの日から部屋から出られなくなったんだ。学校へ行くと、お前のこと思い出すから。
一生背負いつづけるんだろうな。お前が死んだこと、俺は一生忘れられない。
こういうのって誰のせいとかじゃなくて、皆のせいなんだと思う。だから、お前が死んだのも、俺のせい。
他人事に出来るほど、俺は強くない。だから、出来るだけ早く、そっちに行くよ。
それまでに何とか復讐みたいなの、やっちゃうから。
最後に大事なこと言っとく。お前のこと恋人とか、そういう風に思ってない。ただ、幼馴染みってだけだからな。お前、すぐ勘違いするから。

それじゃあ、そっちに行くまで待ってて欲しい。
それまでのちょっとの間、さようなら。
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