金魚鉢///junk

其れは友人に似ていた。

最近、金魚鉢の夢を見る。
大きな金魚鉢の中を泳ぐ夢だ。
水は限りなく澄んで、ぴりぴりと冷たい。
そして、鉢の底には金魚のような浴衣を着た少年が居るのだ。

何だろうか、と思って底へと泳いでいくと、その少年は僕の友人なのだ。
しかし、顔と背恰好がよく似ているだけで、中身はまるで別人である。

僕が近付いて行くと、少年は腕を伸ばして蠱惑的に微笑む。
そして僕が少年の腕の中に飛び込むと、その細い指で僕の髪を弄ぶのだ。

友人はそんなことをする人間ではない。
確かに美しい少年だが、ひどく無口で、浮わついた所など何もない。

しかし僕はその感覚と、少年の肌の温度を味わう内に、堪らなくなる。
無性に、少年を犯したくなるのだ。
美しく、芳しいこの肌を汚したくなるのだ。

友人を前にすると、こんな気持は起こらない。
この閉じた金魚鉢の中だけだ。

少年は本当に友人なのかも知れない。
それならば、僕のこの心に卑しい欲望が根付いているということか。

そんなことを思いながら、どうすることも出来ずにそのしなやかな肢体に口付けてしまう。

そして決まって其処で目が覚めるのだ。

何が何だか分からない。
けれど、友人が夢の少年に似てきた気がする。気のせいだと思いたい。

でなければ、きっと溺れてしまうだろう。
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