レギィ・ダンガーの小さな一生///junk
レギィは嫌われ者だった。
墓場の隅で産み落とされて、泥を啜って生き延びた。
母親はアル中、父親は色狂いだった。
小さなレギィは厭われながら墓守りに育てられた。
レギィは少女だった。
痩せぎすで骨ばかりの汚れた女の子だった。
その癖目ばっかりはぎらぎらしていた。
獣のようなレギィは家畜と同じ馬車に乗せられ売られていった。
レギィは娘だった。
薄汚れた服で煤に塗れて働いていた。
甘いお菓子も香水も羽飾りのついた帽子も知らなかった。
汚れたレギィの世界は粗末な部屋だけだった。
レギィは女だった。
毎日埃ばかりのベッドの上で血液混じりの咳をしていた。
食べることもなく飲むこともなく、ただ遠くを眺めているだけだった。
乾いたレギィの傍らには何も無かった。
レギィは死んだ。
葬式には誰も来なかった。
レギィは何も知らなかった。
知らないままに死んでいった。
寂しさも、愛情も、優しさも。
レギィの世界にはないものだった。
その存在すら知らずに、レギィは生きていた。
楽しさも何も無かったけれど。
それでも確かに、レギィは人間だった。