平等に光る星///junk

今日はクリスマス。

僕とカッターちゃんは、駅前までご飯を食べに来た。
何だか恋人らしいね、と言うとカッターちゃんは顔を赤くしてうつ向いた。

街は色とりどりの明かりで飾られて、どこもかしこもピカピカしている。
そんな光に誘われて、僕らも少しだけ浮かれていた。
いつもはそんな楽しいことなんて考えられないから、余計にうきうきしていた。

いつもは通らないような通りを歩いて、いつもは見ないようなお店に入って。
慣れないけれど手も繋いだ。

「ねえ、めぐるくん」
ふらりと立ち寄った雑貨屋を後にしてから、カッターちゃんが僕の袖を引いた。

「これ、プレゼント」

恥ずかしそうに差し出されたのは、可愛くラッピングされた包み。
さっきの雑貨屋で買ったのだろうか。全然気付かなかった。

「開けてもいいかな」
「いいよ」

するするとリボンをほどいていくと、小さな熊のストラップが出てきた。
色は涼やかな薄い青だった。

「ありがとう。大事にするね」
「あのね、めぐるくん」
「なあに、いたみちゃん」

僕が尋ねると、カッターちゃんは携帯を取り出して、お揃いの熊のストラップを揺らした。
色は綺麗な桜色だった。

「その……嫌じゃない?」
「どうして?」
「勝手に私とお揃いにしちゃったから」
「全然。むしろ嬉しいよ」
「ありがとう。めぐるくんは優しいのね」

にこりとカッターちゃんは笑った。明るい笑顔だった。

「あの、いたみちゃん」
カッターちゃんはにこにこしながら、なあに、と言った。
「僕からも、プレゼント」
ちょっと照れ臭かったけれど、僕も包みを差し出した。

「開けても良い?」
「もちろん」

僕が贈ったのは、雫の飾りがついたネックレスだ。
人の為に贈り物をするのは初めてだったけど、女の子だからアクセサリーが良いと思ったから。

「きれい」
カッターちゃんはぽつりと呟くと、そのままそっとネックレスを首にあてた。

「似合うかな」
「すごく可愛いよ」
「嬉しい。大切にする」

カッターちゃんはまたにっこりと笑った。
いつもこうやっていられたらもっと可愛いのに。

「いたみちゃん」
「なあに」
「大好きだよ」

ふと、衝動的にそう呟いていた。
カッターちゃんは真っ赤になったけれど、困ったように笑っていた。
つられて、僕の顔も赤くなっていたと思う。

「私も、大好き」
カッターちゃんはそっとそう言うと、ぎゅっと僕の手を握って歩き出した。
ずんずんと、照れを隠すように。

イルミネーションがきらきらしている。
そして、僕の目の前も。

それが動揺なのか、恋心なのかはわからなかったけれど。
僕もそっとカッターちゃんの細い手を握り返した。

ああ、美しい。
二人だけの世界は本当に美しいと、確かにその時そう思った。




平等に光る星
(クリスマスは誰にでも)
(幸せを連れてくるのかな)
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -