青春直球一番勝負///恋愛
ずんずんずん。
彼女がノートを片手に廊下を踏みしめる。
警報警報警報。
うつ向いているから表情は分からない。
でも不機嫌そうなオーラを纏ったまま彼女はこちらに向かってくる。
つまり、彼女の標的は俺。
ずん。
彼女は予想通り俺の前に来た。
「あ」
「……こぉんの馬鹿があああぁっ!!」
怒声と共に平らなノートが顔面に叩き付けられた。
俺が貸した、昨日出た宿題が解いてあるノートだ。
彼女はうっかり尻餅をついた俺に、追い討ちをかけるようにローキックを食らわせた。
陸上部だけあってすごい脚力だ。痛い。
「何だよこのノートっ!?全部適当な答え書きやがって!!お陰で大恥かいたんだよあたしは!!」
「……じゃ、じゃあ自分でやれば……おふぅっ」
「そういう問題じゃないっ!」
次は上から踏みつけられた。
廊下を通る生徒達は関わりたくないオーラを発散して通り過ぎていく。
彼女も少しは人の目というやつを気にした方が良いと思う。
「お前はあたしに何か恨みでもあるんですか」
「黙秘します」
「……つまり、仕返しってことですか」
「どちらかというと嫌がらせ……ぐふっ……嘘ですすいません」
仕返し?嫌がらせ?
いや、だから、嘘だって。
俺がこんなことするのは、君が悪いんじゃないか。
俺が何しても振り向かない、気にしない、眼中にない。
ときめきだけが止まらない。
幼なじみの肩書きなんて意味がない。
だから。
君が、悪いんだよ。
「嘘なら何でだよ!」
「君が好きだからだよ」
言っちゃった。
彼女の動きが止まる。
顔が赤くなる。
「好きだよ」
最後にもう一度言ったら、踵落としが飛んできた。痛かった。
真正面から受け止めて(僕はちゃんと伝えたよ)(だから君も逃げないで)--------------------
お題:真正面から受け止めて
101011
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