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零羽とふたりで暮らすようになって二年の月日が流れた。
初めは遠慮しがちだったその態度も、今では生意気になった。
薄暗い部屋でこちらを呆然と見つめていた青色の瞳は、今では意思をもって俺を睨み付けている。
眉根を寄せて頬を膨らませながら怒って見せるその様子は少し外見よりも子供じみて見える。
二年前は長かった黒髪は今では短く切りそろえられて、さっぱりして見える。
女にも見えていた容姿は少し栄養のある食事と適度な運動を取り始めたからか少し青年らしく見えるようになった。

「俺の話、聞いてた?」

少し低めになったけれど相変わらず色気のある声でそう怒りをあらわに聞いてくる姿ははっきりいうと昔と違うエロさがある。

「聞いていたといっている」
「絶対にウソだ。聞いてなかったろ!」
「聞いている。気に入らなければもう一度話せばいいだろう」

もう何度目か分からない押し問答に若干疲れを見せながら俺を見つめる零羽にそう答えると顔を真っ赤にしてぐぬぬと悔しそうに口を閉じた。
時々こんな顔をする零羽だが、気持ちはちゃんと口にしろと言っても一向に聞こうとしないのはなぜだろうか。
ある程度のことは口に出しても、真っ赤になった時だけはなにも答えようとしない。
やれやれとため息を吐けば、今度は目尻に涙をうっすらと浮かべる。

「グレンのあほ」

ぼそぼそと呟かれた言葉は聞き捨てならない。
ほっぺたを抓ってやれば、痛い痛いとじたばた暴れたので面白かった。
赤く染まった頬を撫でながらちくしょうとこちらを睨み付ける零羽に不敵な笑みを浮かべてやると余裕があるって感じがムカつく、と言われたのでもう一度頬を今度は優しく抓っておいた。





バカップル化してる・・・?


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テーマ「人外ファンタジー」
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