『着いたー!!久し振り!!』
〈懐かしい、ね!…えへへ、ボクとマスターの初めてのバトルは、ライモンだったなぁ〉
『そうそう!あの時は負けちゃったけど…でも相手がカミツレさんだったし、すごくいい経験になったよね。疾風は今やこんなに立派になりましたってあの時会場にいた人達に見せびらかしたいよ!』
〈そ、それはちょっと恥ずかしいよマスター…〉
結局いつものように疾風に移動手段となってもらい、ライモンシティへ降り立ったヒナタ。相変わらず大勢の人で賑わうその街は、見る者の心を弾ませる光を放っていた。
カミツレとのバトルを思い返すのも程々に遊園地へ向かったヒナタだったが、やはり雑誌やテレビといったメディアで特集された影響か観覧車は物凄い人集りである。
『うわー…やっぱり凄いね。でもせっかく来たんだし諦めないよあたしは!』
〈そうだね、ところでヒナタちゃん〉
『ん?』
〈誰と乗るの?〉
『……………あーーーーっ!!』
〈はぁ…やっぱり、そんなことだろうと思った〉
雷士が大袈裟に溜め息を吐くのも無理はない。何故ならヒナタはカミツレに会いたいという気持ちが先走り、最も大事なことを失念していたからだ。
『そ、そうだ…この観覧車2人乗りなんだった…!』
〈やっぱり1人で来なくて正解だったね。じゃあ…、〉
「ひーめさん!オレと乗ろうぜ!」
『わぁっ!?ちょ、嵐志…!』
「…いい度胸だねこのエロ狐…」
「ら、雷士、電気はダメだよ!他の人達もいるんだし、ね?」
「颯爽と擬人化したのに嵐志に邪魔をされてしまいましたねぇ」
氷雨が含んだ通り雷士は自分がヒナタのパートナーとして観覧車に乗るつもりだったのだが、その提案を嵐志に遮られてしまった。常通りの無表情ではあるが、背後に見える黒いオーラが不機嫌MAXを物語っている。
『じゃ、じゃあ嵐志と乗るとして…皆はどうする?待ってるの暇だろうし自由行動しても、』
「あ″ぁ!?」
『ひぃっ!?』
元々押しに弱い上、このメンバーの中で誰と乗るかなど拘りのないヒナタは嵐志の勢いに任せ承諾しようとしたのだが…それを良しとしない紅矢のドスたっぷりの怒声で阻止された。
通常より三割増し程に寄せられた眉間の皺を筆頭に、鋭い犬歯を剥き出しにしまるで怒りを隠さない紅矢はまさしく野生の獣のようである。それは紅矢の睨みの視線には耐性のあるヒナタでさえ、思わず震えてしまうほどに恐ろしいものであった。
『ま、魔王様…っじゃなくて紅矢様!一体何をそんな、お怒りに…、』
「いい加減にしやがれテメェ…本気でその変態狐と乗るつもりならどうなるか分かってんだろうなぁ?」
(全く分かんないけど死亡フラグぅううう!!)
ヒナタが僅かに備えている危機察知能力が、紅矢を前にしてよく分からない危険をびんびん感じ取っている。何故紅矢がここまで怒りを露わにしているのかは解せないが、とりあえず理解出来るのはこのままでは自分は命の危機に曝されるということだ。
ただそれが分かっていても、やはり紅矢が怒っている理由が分からなければ意味はない。詰まる所紅矢は嵐志と2人っきりになる状況が気に食わず威嚇しているのだが、肝心な所で鈍いヒナタにそれが伝わることはなかった。
「いいから来いヒナタ、乗るなら俺と乗りやがれ」
『え、えぇ!?』
「あっ横入りとかずりーぜこーちゃん!」
「うるせぇ黙れ変態狐!」
「いでっ!つ、つーからいとんもこーちゃんもエロ狐だの変態狐だのひでーっつの!」
「じゃあ嵐志、ヒナタちゃんと観覧車に乗りたいその心は?」
「2人っきりの密室で姫さんとイチャイチャしてあわよくば高所プレイにしけこむ!……あ″、」
「やっぱり変態エロ狐だね、遠慮なくどうぞ蒼刃」
「貴様ぁあああ!!ヒナタ様に対しそのような不埒な妄想をするなど万死に値する!!」
「ぎっギブギブそーくん!!マジ死ぬ!チョークスリーパーとかそーくんがやるとシャレになんねーんだよマジ死ぬって!!」
「その割に喋る余裕はありますね。蒼刃、もっと力を込めても大丈夫そうですよ」
「さめっちぃいいい!!」
『ちょ、ちょっと落ち着いて皆!周りの人に迷惑だからせめて声のボリューム落としなさい!』
「そ、そういう問題じゃないと思うよ、マスター…!」
ギャーギャーと騒がしい一行に周囲から多くの視線が集まる。中には好奇の視線であったり不愉快な感情を含んだ視線もあるのだが、多くは外面だけは素晴らしく整っている雷士達に向けた熱っぽい視線であった。まぁ渦中のヒナタがそれに気付く程鋭い訳もないのだが。
〈懐かしい、ね!…えへへ、ボクとマスターの初めてのバトルは、ライモンだったなぁ〉
『そうそう!あの時は負けちゃったけど…でも相手がカミツレさんだったし、すごくいい経験になったよね。疾風は今やこんなに立派になりましたってあの時会場にいた人達に見せびらかしたいよ!』
〈そ、それはちょっと恥ずかしいよマスター…〉
結局いつものように疾風に移動手段となってもらい、ライモンシティへ降り立ったヒナタ。相変わらず大勢の人で賑わうその街は、見る者の心を弾ませる光を放っていた。
カミツレとのバトルを思い返すのも程々に遊園地へ向かったヒナタだったが、やはり雑誌やテレビといったメディアで特集された影響か観覧車は物凄い人集りである。
『うわー…やっぱり凄いね。でもせっかく来たんだし諦めないよあたしは!』
〈そうだね、ところでヒナタちゃん〉
『ん?』
〈誰と乗るの?〉
『……………あーーーーっ!!』
〈はぁ…やっぱり、そんなことだろうと思った〉
雷士が大袈裟に溜め息を吐くのも無理はない。何故ならヒナタはカミツレに会いたいという気持ちが先走り、最も大事なことを失念していたからだ。
『そ、そうだ…この観覧車2人乗りなんだった…!』
〈やっぱり1人で来なくて正解だったね。じゃあ…、〉
「ひーめさん!オレと乗ろうぜ!」
『わぁっ!?ちょ、嵐志…!』
「…いい度胸だねこのエロ狐…」
「ら、雷士、電気はダメだよ!他の人達もいるんだし、ね?」
「颯爽と擬人化したのに嵐志に邪魔をされてしまいましたねぇ」
氷雨が含んだ通り雷士は自分がヒナタのパートナーとして観覧車に乗るつもりだったのだが、その提案を嵐志に遮られてしまった。常通りの無表情ではあるが、背後に見える黒いオーラが不機嫌MAXを物語っている。
『じゃ、じゃあ嵐志と乗るとして…皆はどうする?待ってるの暇だろうし自由行動しても、』
「あ″ぁ!?」
『ひぃっ!?』
元々押しに弱い上、このメンバーの中で誰と乗るかなど拘りのないヒナタは嵐志の勢いに任せ承諾しようとしたのだが…それを良しとしない紅矢のドスたっぷりの怒声で阻止された。
通常より三割増し程に寄せられた眉間の皺を筆頭に、鋭い犬歯を剥き出しにしまるで怒りを隠さない紅矢はまさしく野生の獣のようである。それは紅矢の睨みの視線には耐性のあるヒナタでさえ、思わず震えてしまうほどに恐ろしいものであった。
『ま、魔王様…っじゃなくて紅矢様!一体何をそんな、お怒りに…、』
「いい加減にしやがれテメェ…本気でその変態狐と乗るつもりならどうなるか分かってんだろうなぁ?」
(全く分かんないけど死亡フラグぅううう!!)
ヒナタが僅かに備えている危機察知能力が、紅矢を前にしてよく分からない危険をびんびん感じ取っている。何故紅矢がここまで怒りを露わにしているのかは解せないが、とりあえず理解出来るのはこのままでは自分は命の危機に曝されるということだ。
ただそれが分かっていても、やはり紅矢が怒っている理由が分からなければ意味はない。詰まる所紅矢は嵐志と2人っきりになる状況が気に食わず威嚇しているのだが、肝心な所で鈍いヒナタにそれが伝わることはなかった。
「いいから来いヒナタ、乗るなら俺と乗りやがれ」
『え、えぇ!?』
「あっ横入りとかずりーぜこーちゃん!」
「うるせぇ黙れ変態狐!」
「いでっ!つ、つーからいとんもこーちゃんもエロ狐だの変態狐だのひでーっつの!」
「じゃあ嵐志、ヒナタちゃんと観覧車に乗りたいその心は?」
「2人っきりの密室で姫さんとイチャイチャしてあわよくば高所プレイにしけこむ!……あ″、」
「やっぱり変態エロ狐だね、遠慮なくどうぞ蒼刃」
「貴様ぁあああ!!ヒナタ様に対しそのような不埒な妄想をするなど万死に値する!!」
「ぎっギブギブそーくん!!マジ死ぬ!チョークスリーパーとかそーくんがやるとシャレになんねーんだよマジ死ぬって!!」
「その割に喋る余裕はありますね。蒼刃、もっと力を込めても大丈夫そうですよ」
「さめっちぃいいい!!」
『ちょ、ちょっと落ち着いて皆!周りの人に迷惑だからせめて声のボリューム落としなさい!』
「そ、そういう問題じゃないと思うよ、マスター…!」
ギャーギャーと騒がしい一行に周囲から多くの視線が集まる。中には好奇の視線であったり不愉快な感情を含んだ視線もあるのだが、多くは外面だけは素晴らしく整っている雷士達に向けた熱っぽい視線であった。まぁ渦中のヒナタがそれに気付く程鋭い訳もないのだが。