※澪視点
「ヒナタちゃん!ほらこの服、あなたに似合うと思って買っちゃったのよー!」
『え、また買って来てくれたの!?あ、有り難いんだけど澪姐さん…そんなにお金使って大丈、』
「プラスでじゃーん!ヒナタちゃんの大好きなケーキ屋さんの季節限定商品!」
『わーい澪姐さん大好きぃいい!!』
「あぁんもう可愛いわねこの子は!」
〈ちょっと目の前でイチャイチャするの止めてくれる〉
「無駄や雷士、今の2人には聞こえてへん」
満面の笑みで私に抱き付くヒナタちゃんを思い切り抱き返し、ひまわりの色をした髪を撫でる。
私はこのヒナタちゃんの髪が好きなの。私の水色の髪と違って、とても暖かい色をしているもの。
『うわぁ美味しそう…!あたし皆のこと呼んでくるねー!』
「憎たらしいクソ紅矢にもやらなきゃならないのは本当にムカつくけどヒナタちゃんの為だから仕方ないわね」
『澪姐さん顔!せっかくの美人が!!』
苦笑いを残して庭にいるであろう他の仲間を呼びに行ったヒナタちゃん。…本当に紅矢のヤツ憎たらしいわ。あんなに可愛い子なんだからもっと優しくしなさいっての。
「はー…ほんっと澪ちんって姫さんのこと可愛がってるよなー」
「はは、今でこそアレだが…初めはそうじゃなかったんだぞ。なぁ、澪?」
「…ふふ、そうね。今思えばあの頃の私はどうかしてたわ」
〈澪…昔はヒナタちゃんと仲良くなかったの?〉
「あら、そう言えば雷士もこのことは知らないんだっけ。そうね…話してあげてもいいわよ?」
私とヒナタちゃんが出会った、あの頃の話を。
そう言うと嵐志や樹は興味津々なのかソファから身を乗り出し、面倒くさがりな雷士も珍しく耳を傾けている。氷雨も読んでいた本を閉じて聞く気満々ね。…ツンデレ昴もさり気なく聞き耳立ててるのバレバレよ。
本当にもう…皆あの子が絡むと必死になっちゃうんだから困ったものね。まぁ…私も同じようなものなんだけど。
「私がハルマの手持ちになった時には既にヒナタちゃんはハルマの養子だった。初めて出会った時は確か…あの子が7歳くらいの時かしらね」
今でもよく覚えている…暗い目をした私の前に現れた、小さな女の子。
ポケモンである私にとってはとても無力な存在…それなのに、私は…
あの頃の私は、ヒナタちゃんのことが怖くて堪らなかったの。
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