※雷士視点
とある日、僕達一行はポケモンセンターで借りた個室にて一休みしていた。ヒナタちゃんは前日の疲れが溜まっていたらしく、珍しくどこにも行く気はないらしい。
ちなみに今部屋にいるのは僕、ヒナタちゃん、紅矢。蒼刃と疾風は外で修行中。暑いのによくやるね…。
『はー…何か甘い物食べたいなぁ。あ!そうだそうだ、確かモモンプリンがあった筈…』
外から持ち込んだ食べ物を閉まっておけるレンタル冷蔵庫を漁り、プリンを探すヒナタちゃん。
しばらくガサガサしていたと思ったら、突然ピタッと動きが止まった。そして視線は擬人化してくつろいでる紅矢へ。
『…紅矢…まさか…食べた?』
「あ?あぁ…プリンなら食っちまったぜ」
あっけらかんと言い放った紅矢。…あ、マズいかも。
『―――っ紅矢のバカぁあああ!!』
…やっぱりね、ヒナタちゃん昔から甘い物には目がないから…。でも何も泣く事ないんじゃないかとも思うけど。
「…っうるせぇなヒナタ!んなくらいでピーピー喚くんじゃねぇ!」
『だって――っ!あれ食べるの楽しみにしてたのに!』
ポロポロ涙を零すヒナタちゃんに紅矢が少しビックリしてる。多分ヒナタちゃんに会って少し丸くなったからこその表情なんだろうね。
(…まぁ、面白くはないんだけど)
僕も擬人化し、そっとヒナタちゃんに近付き頭を撫でる。すると涙を浮かべたまま大きく目を見開いて見上げてきた。…ぷっ、可愛いけど変な顔。
『ら、雷士…?』
「泣かないでよヒナタちゃん。プリンじゃないけどアメなら僕持ってるから」
パーカーのポケットからモモン味のアメを取り出す。少し前に帰省した時に斉から貰ったアメがこんなところで役立つとはね。
『え…いいの?』
「うん、嫌いじゃないけどそこまで好きでもないし」
『〜っありがとう雷士!!』
「っと…、」
渡したアメを握り締めたまま僕に抱き付いてきたヒナタちゃん。全く無防備なんだから…。
さり気なく僕もヒナタちゃんの背に腕を回し、そのままチラリと紅矢を見やる。驚いた顔をしている彼にニヤリと笑ってやった。
(こんな事、出来ないでしょ?)
「―――っ!テメェ…意外と性悪だな。」
性悪だなんて心外だな、少しばかりの牽制だよ。
何となく優越感に浸っていたら、紅矢がヒナタちゃんの腕を掴んで思いっきり引っ張った。
『わ…!?』
「!」
強い力に呆気なくヒナタちゃんは僕の腕の中からいなくなる。柔らかくて暖かい熱の喪失感に思わずムッとしてしまった。
『な、何?紅矢』
「…テメェはこれでも食ってろ」
『むぐっ!?』
紅矢がジーパンのポケットから取り出したのは赤いグミ。そのままヒナタちゃんの顎を掴み口へ押し込んだ。
何であんな物…まぁ甘い物好きな紅矢の事だから、いつでも摘まめるようにとかそんな感じで常備していたのだろうけど。ていうかムカつく。
『んむ…あ、美味しい』
「仕方ねぇからやる。感謝しやがれ」
『はいはい…ありがとうございます』
あれは多分紅矢なりのお詫びなんじゃないかな…。ヒナタちゃんも泣いていた事をすっかり忘れてグミを味わっている。本当単純だよね。
「んでテメェはこっち来い」
『え!?』
再びヒナタちゃんを引っ張りソファへ乱暴に座らせた。ちょ、何する気?
混乱しているヒナタちゃんを尻目に、紅矢も隣りへ腰を下ろし、丁度頭が膝に乗る形で横倒しになる。…つまりは膝枕だ。
『こ、紅矢?髪の毛くすぐったいんだけど…』
「黙ってろ。俺が起きるまで動くんじゃねぇぞ」
『出た出た横暴語録!』
「あ"ぁ?文句あんのかこのまま噛み付くぞ」
『ゴメンナサイ』
諦めたように溜め息を吐いてソファにもたれ掛かるヒナタちゃん。そんな彼女に気付かれないように僕を見て口角を吊り上げる紅矢。
…ふぅん、宣戦布告って訳。
僕もソファへ行き紅矢の反対側に座り、ヒナタちゃんの肩に頭を預けてもたれ掛かる。ムカついたからさり気なく紅矢の頭に肘鉄してやった。
「雷士テメェ…!」
「お互い様でしょ。それに僕はやられたらやり返すタイプなんだよ」
ヒナタちゃんに関する事は、ね。
『何の話?』
「気にしなくていいよ、それより眠くなったからこのまま寝る」
『えぇええあたし超辛いんですけど!!』
ヒナタちゃんが何か叫んでるけど無視。この体温に本当に眠くなってきたから。
とりあえず…今日のところはこれくらいかな。
〜2時間後〜
〈あ、あれ、マスター達寝てる…。雷士はいつもだけど、紅矢もグッスリだね!〉
〈…紅矢…雷士…っ今すぐヒナタ様から離れろぉおおお!!〉
『っ!?何事!?』
end
とある日、僕達一行はポケモンセンターで借りた個室にて一休みしていた。ヒナタちゃんは前日の疲れが溜まっていたらしく、珍しくどこにも行く気はないらしい。
ちなみに今部屋にいるのは僕、ヒナタちゃん、紅矢。蒼刃と疾風は外で修行中。暑いのによくやるね…。
『はー…何か甘い物食べたいなぁ。あ!そうだそうだ、確かモモンプリンがあった筈…』
外から持ち込んだ食べ物を閉まっておけるレンタル冷蔵庫を漁り、プリンを探すヒナタちゃん。
しばらくガサガサしていたと思ったら、突然ピタッと動きが止まった。そして視線は擬人化してくつろいでる紅矢へ。
『…紅矢…まさか…食べた?』
「あ?あぁ…プリンなら食っちまったぜ」
あっけらかんと言い放った紅矢。…あ、マズいかも。
『―――っ紅矢のバカぁあああ!!』
…やっぱりね、ヒナタちゃん昔から甘い物には目がないから…。でも何も泣く事ないんじゃないかとも思うけど。
「…っうるせぇなヒナタ!んなくらいでピーピー喚くんじゃねぇ!」
『だって――っ!あれ食べるの楽しみにしてたのに!』
ポロポロ涙を零すヒナタちゃんに紅矢が少しビックリしてる。多分ヒナタちゃんに会って少し丸くなったからこその表情なんだろうね。
(…まぁ、面白くはないんだけど)
僕も擬人化し、そっとヒナタちゃんに近付き頭を撫でる。すると涙を浮かべたまま大きく目を見開いて見上げてきた。…ぷっ、可愛いけど変な顔。
『ら、雷士…?』
「泣かないでよヒナタちゃん。プリンじゃないけどアメなら僕持ってるから」
パーカーのポケットからモモン味のアメを取り出す。少し前に帰省した時に斉から貰ったアメがこんなところで役立つとはね。
『え…いいの?』
「うん、嫌いじゃないけどそこまで好きでもないし」
『〜っありがとう雷士!!』
「っと…、」
渡したアメを握り締めたまま僕に抱き付いてきたヒナタちゃん。全く無防備なんだから…。
さり気なく僕もヒナタちゃんの背に腕を回し、そのままチラリと紅矢を見やる。驚いた顔をしている彼にニヤリと笑ってやった。
(こんな事、出来ないでしょ?)
「―――っ!テメェ…意外と性悪だな。」
性悪だなんて心外だな、少しばかりの牽制だよ。
何となく優越感に浸っていたら、紅矢がヒナタちゃんの腕を掴んで思いっきり引っ張った。
『わ…!?』
「!」
強い力に呆気なくヒナタちゃんは僕の腕の中からいなくなる。柔らかくて暖かい熱の喪失感に思わずムッとしてしまった。
『な、何?紅矢』
「…テメェはこれでも食ってろ」
『むぐっ!?』
紅矢がジーパンのポケットから取り出したのは赤いグミ。そのままヒナタちゃんの顎を掴み口へ押し込んだ。
何であんな物…まぁ甘い物好きな紅矢の事だから、いつでも摘まめるようにとかそんな感じで常備していたのだろうけど。ていうかムカつく。
『んむ…あ、美味しい』
「仕方ねぇからやる。感謝しやがれ」
『はいはい…ありがとうございます』
あれは多分紅矢なりのお詫びなんじゃないかな…。ヒナタちゃんも泣いていた事をすっかり忘れてグミを味わっている。本当単純だよね。
「んでテメェはこっち来い」
『え!?』
再びヒナタちゃんを引っ張りソファへ乱暴に座らせた。ちょ、何する気?
混乱しているヒナタちゃんを尻目に、紅矢も隣りへ腰を下ろし、丁度頭が膝に乗る形で横倒しになる。…つまりは膝枕だ。
『こ、紅矢?髪の毛くすぐったいんだけど…』
「黙ってろ。俺が起きるまで動くんじゃねぇぞ」
『出た出た横暴語録!』
「あ"ぁ?文句あんのかこのまま噛み付くぞ」
『ゴメンナサイ』
諦めたように溜め息を吐いてソファにもたれ掛かるヒナタちゃん。そんな彼女に気付かれないように僕を見て口角を吊り上げる紅矢。
…ふぅん、宣戦布告って訳。
僕もソファへ行き紅矢の反対側に座り、ヒナタちゃんの肩に頭を預けてもたれ掛かる。ムカついたからさり気なく紅矢の頭に肘鉄してやった。
「雷士テメェ…!」
「お互い様でしょ。それに僕はやられたらやり返すタイプなんだよ」
ヒナタちゃんに関する事は、ね。
『何の話?』
「気にしなくていいよ、それより眠くなったからこのまま寝る」
『えぇええあたし超辛いんですけど!!』
ヒナタちゃんが何か叫んでるけど無視。この体温に本当に眠くなってきたから。
とりあえず…今日のところはこれくらいかな。
〜2時間後〜
〈あ、あれ、マスター達寝てる…。雷士はいつもだけど、紅矢もグッスリだね!〉
〈…紅矢…雷士…っ今すぐヒナタ様から離れろぉおおお!!〉
『っ!?何事!?』
end
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