「そんでよーさめっちぃ、姫さんがこれまたかっわいいー顔してさー、照れるワケなんだよ!!」
「はいはい分かりました、その話はもう5回目ですよ嵐志」
「んだこのポッキー…えらく固ぇし甘くねぇぞクソが」
「紅矢、君が今かじっているのは箸ですから出しなさい」
やれやれ、今日は珍しく2人共酒に呑まれていますね。バトル続きで疲れが溜まっているのでしょうか。
時間はもう1時半…そろそろ寝支度をしなければ明日に響きます。もう紅矢も嵐志も風呂は要らないでしょうから先に寝かすとしましょう。
まだ飲むとごねる嵐志と甘い物を寄越せと宣う紅矢を引きずり寝室へと放り込む。全く世話のかかる方々です。
「さて…僕は風呂に入ってから寝るとしますか」
水場を生息地とする種族故に風呂は好きだ。特に身体的な汚れだけでなく疲労すらも洗い流してくれるシャワーは僕のお気に入りであったりする。
時と場合によって風呂は無理だとしてもシャワーだけは欠かさず浴びるのが日課なので、それをしないと何だか気持ちが悪くて寝覚めが良くない程なのだ。そして今日も変わらず1つの習慣として風呂場へと向かう。
事が起きたのは、服を脱ぎ僕にとって1日の終わりを象徴する扉を開けようとした、その時だった。
『はー…いいお湯だった!』
「え?」
『ん?』
………………。
『……っひきゃぁあむぐっ!!』
「しー、静かにしなさい。皆が起きてしまうでしょう」
『んぐぐ…っ!』
扉を開けたら目の前にヒナタ君が立っていた。一応タオルだけは巻いているようですが、当然その下は全裸。僕は一瞬の間を置いて悲鳴を上げようとした口を素早く手のひらで押さえつけた。
少しの間混乱して逃れようとしていたヒナタ君だったが、暫くして落ち着いたらしく身じろぐことをしなくなった。こちらをチラリと伺いながら口を塞ぐ僕の手を軽く叩き解放を求めたので、もう大丈夫だろうとそれに応じる。
『っぷは、』
「ところでヒナタ君、君は何故こんな真夜中に風呂から出てきたのですか?」
『ひ、氷雨達がお酒飲み始めたくらいからあたし寝ちゃって…それで起きたらもう1時だったから慌ててお風呂に…その、まだ飲んでるみたいだったからすぐ出れば大丈夫、と思って』
言いながら自分の格好が恥ずかしいらしく、ぐるりと背を向けてしまった。
「はぁ…明日の朝入ればよかったでしょうに」
『だ、だって…その日中に入らないと何か気持ち悪いから…』
…まぁ、その気持ちは僕もよく分かりますが。だからと言ってやはりお勧めはしませんね。
『はー…でも氷雨でよかった。嵐志とか蒼刃だったらもっと大騒ぎになってただろうから』
「……ほう?」
ヒナタ君は大袈裟に息を吐いて安堵を示す。だが僕の方はむくむくと悪戯心が膨れ上がっていった。
この場合ですとヒナタ君は僕相手ならば騒ぎにならず、他の仲間達に迷惑をかけないと言いたいのでしょう。確かにそれは間違っていません。僕はムッツリな蒼刃や節操なしの嵐志と違ってどんな状況でも落ち着き払っていますから。
……ですが、
『そ、そういえば氷雨はこれから入ろうとしてたんだよね?邪魔してゴメンね、あたし出るか…っ!?』
ヒナタ君が目を見開き驚きで声を詰まらせたのが背中越しでもよく分かる。きっと今この子は状況がよく分かっていないのでしょうね…何故、自分のお腹に僕の腕が回されているのかということが。
『…ど、どうしましたか氷雨様…?』
「どうもこうも…当然のことだと思いますが」
目の前で肌を晒している君を、この僕がそのまま帰す訳がないでしょう?
そう耳元で囁けばヒナタ君が肩を震わせた。やっと気付いたようですね…蒼刃よりも嵐志よりも、ある意味僕の方が危険だということに。
(まぁ蒼刃はともかく…嵐志と紅矢は同じくらい危険かもしれませんが)
『ちょ、ちょっと…離して、氷雨…!』
「嫌だと言ったら?」
『ひゃ!?』
首筋にふっと息を吹きかけ背中をゆっくり指でなぞってやる。すると面白いくらいに跳ねた瑞々しい体が美味しそうに色付いた。
『も、本当に…やだってば、氷雨!』
「そうつれないことを言わずに、僕はこんなにも楽しいんですから」
『そ、そんなの氷雨だけ…って、や、嘘…!?』
「ふふ…」
すりすりと薄いお腹を撫でていた右手を滑らせるように上へ上へと移動させる。咄嗟にガードしようとしたヒナタ君の両手を左手1つで阻止すれば、とうとうこの子は無力になってしまった。
「怖がらなくても大丈夫ですよ、うんと可愛がって差し上げますから…」
『ひ…や、やだ、やだ…!』
最後の抵抗として頭を左右に降るヒナタ君を物ともせず、ジワジワと距離を縮めていく。そしてついに右手がヒナタ君の胸へと辿り着こうとした時…。
「…おや?」
くてん、と腕の中のヒナタ君の力が抜けた。顔を覗き込むと真っ赤に染まったまま目を回している…これはこれは、羞恥と室内の温度で逆上せてしまったようですね。
「ふ…ふふっ、本当に面白い子だ。さて…看病して差し上げますか」
今日の所はここまで。さすがに気を失ったこの子に悪戯する趣味はありません。起きている時でないと詰まらないですし。
(まぁ…次また同じ状況になったら、その時は覚悟して下さいね?)
無自覚でも男を挑発したらどうなるか、その身を以て分かって頂くとしましょう。
僕は気絶したヒナタ君を抱き抱え、くすぶる欲に気付かないフリをしてリビングへ向かった。
お約束ハプニング
(お預けを食らうのもお約束、ですかね)
「はいはい分かりました、その話はもう5回目ですよ嵐志」
「んだこのポッキー…えらく固ぇし甘くねぇぞクソが」
「紅矢、君が今かじっているのは箸ですから出しなさい」
やれやれ、今日は珍しく2人共酒に呑まれていますね。バトル続きで疲れが溜まっているのでしょうか。
時間はもう1時半…そろそろ寝支度をしなければ明日に響きます。もう紅矢も嵐志も風呂は要らないでしょうから先に寝かすとしましょう。
まだ飲むとごねる嵐志と甘い物を寄越せと宣う紅矢を引きずり寝室へと放り込む。全く世話のかかる方々です。
「さて…僕は風呂に入ってから寝るとしますか」
水場を生息地とする種族故に風呂は好きだ。特に身体的な汚れだけでなく疲労すらも洗い流してくれるシャワーは僕のお気に入りであったりする。
時と場合によって風呂は無理だとしてもシャワーだけは欠かさず浴びるのが日課なので、それをしないと何だか気持ちが悪くて寝覚めが良くない程なのだ。そして今日も変わらず1つの習慣として風呂場へと向かう。
事が起きたのは、服を脱ぎ僕にとって1日の終わりを象徴する扉を開けようとした、その時だった。
『はー…いいお湯だった!』
「え?」
『ん?』
………………。
『……っひきゃぁあむぐっ!!』
「しー、静かにしなさい。皆が起きてしまうでしょう」
『んぐぐ…っ!』
扉を開けたら目の前にヒナタ君が立っていた。一応タオルだけは巻いているようですが、当然その下は全裸。僕は一瞬の間を置いて悲鳴を上げようとした口を素早く手のひらで押さえつけた。
少しの間混乱して逃れようとしていたヒナタ君だったが、暫くして落ち着いたらしく身じろぐことをしなくなった。こちらをチラリと伺いながら口を塞ぐ僕の手を軽く叩き解放を求めたので、もう大丈夫だろうとそれに応じる。
『っぷは、』
「ところでヒナタ君、君は何故こんな真夜中に風呂から出てきたのですか?」
『ひ、氷雨達がお酒飲み始めたくらいからあたし寝ちゃって…それで起きたらもう1時だったから慌ててお風呂に…その、まだ飲んでるみたいだったからすぐ出れば大丈夫、と思って』
言いながら自分の格好が恥ずかしいらしく、ぐるりと背を向けてしまった。
「はぁ…明日の朝入ればよかったでしょうに」
『だ、だって…その日中に入らないと何か気持ち悪いから…』
…まぁ、その気持ちは僕もよく分かりますが。だからと言ってやはりお勧めはしませんね。
『はー…でも氷雨でよかった。嵐志とか蒼刃だったらもっと大騒ぎになってただろうから』
「……ほう?」
ヒナタ君は大袈裟に息を吐いて安堵を示す。だが僕の方はむくむくと悪戯心が膨れ上がっていった。
この場合ですとヒナタ君は僕相手ならば騒ぎにならず、他の仲間達に迷惑をかけないと言いたいのでしょう。確かにそれは間違っていません。僕はムッツリな蒼刃や節操なしの嵐志と違ってどんな状況でも落ち着き払っていますから。
……ですが、
『そ、そういえば氷雨はこれから入ろうとしてたんだよね?邪魔してゴメンね、あたし出るか…っ!?』
ヒナタ君が目を見開き驚きで声を詰まらせたのが背中越しでもよく分かる。きっと今この子は状況がよく分かっていないのでしょうね…何故、自分のお腹に僕の腕が回されているのかということが。
『…ど、どうしましたか氷雨様…?』
「どうもこうも…当然のことだと思いますが」
目の前で肌を晒している君を、この僕がそのまま帰す訳がないでしょう?
そう耳元で囁けばヒナタ君が肩を震わせた。やっと気付いたようですね…蒼刃よりも嵐志よりも、ある意味僕の方が危険だということに。
(まぁ蒼刃はともかく…嵐志と紅矢は同じくらい危険かもしれませんが)
『ちょ、ちょっと…離して、氷雨…!』
「嫌だと言ったら?」
『ひゃ!?』
首筋にふっと息を吹きかけ背中をゆっくり指でなぞってやる。すると面白いくらいに跳ねた瑞々しい体が美味しそうに色付いた。
『も、本当に…やだってば、氷雨!』
「そうつれないことを言わずに、僕はこんなにも楽しいんですから」
『そ、そんなの氷雨だけ…って、や、嘘…!?』
「ふふ…」
すりすりと薄いお腹を撫でていた右手を滑らせるように上へ上へと移動させる。咄嗟にガードしようとしたヒナタ君の両手を左手1つで阻止すれば、とうとうこの子は無力になってしまった。
「怖がらなくても大丈夫ですよ、うんと可愛がって差し上げますから…」
『ひ…や、やだ、やだ…!』
最後の抵抗として頭を左右に降るヒナタ君を物ともせず、ジワジワと距離を縮めていく。そしてついに右手がヒナタ君の胸へと辿り着こうとした時…。
「…おや?」
くてん、と腕の中のヒナタ君の力が抜けた。顔を覗き込むと真っ赤に染まったまま目を回している…これはこれは、羞恥と室内の温度で逆上せてしまったようですね。
「ふ…ふふっ、本当に面白い子だ。さて…看病して差し上げますか」
今日の所はここまで。さすがに気を失ったこの子に悪戯する趣味はありません。起きている時でないと詰まらないですし。
(まぁ…次また同じ状況になったら、その時は覚悟して下さいね?)
無自覚でも男を挑発したらどうなるか、その身を以て分かって頂くとしましょう。
僕は気絶したヒナタ君を抱き抱え、くすぶる欲に気付かないフリをしてリビングへ向かった。
お約束ハプニング
(お預けを食らうのもお約束、ですかね)
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